第62章 これからも家族3人で幸せに(❤︎)
「聞けよカノ。こいつさ、大事なレースで調子乗ってトチりやがってよー」
「そうなんですか?私は仕事で見に行けなかったんですけど、万次郎くんでも失敗する事あるんですね」
「なんだ、カノに話してなかったのか」
「だってカッコ悪ぃじゃん…。カノにはカッコいいオレだけを見ててほしいんだよ」
「どんな万次郎だってカッコイイですよ」
「嬉しいこと言ってくれんじゃん♪」
るん♪っと一瞬でご機嫌になったマイキーはカノの首に横から手を回す。
「その様子だと同棲生活も上手くいってんだな。相変わらずワガママばっか言ってカノを困らせてんだろ?」
「それも含めて毎日が楽しいです。たまに喧嘩することもありますけど、大好きな人と同じ家で暮らせることがとても幸せなんです」
「コイツに付き合えるのはオマエぐらいだしな。これからもマイキーをよろしく頼むな」
「はい」
「オレがいんのにケンチンとばっか話すのヤダ。なんでオレに構ってくんねぇの?」
むすっと拗ねてしまったマイキーを見て、ドラケンは呆れたように溜息を吐く。
「これくらいで嫉妬すんなよマイキー」
「ケンチンが浮気してるってエマに言いつけてやる」
「なんでだよ」
「(この二人の関係性も相変わらずだなぁ。)」
昔と変わらない光景を微笑ましそうに見ていると、会場の扉がゆっくりと開かれる。
「遅せぇぞ千冬!」
「マイキー君ドラケン君にカノ」
息を切らしながらそろ〜っと中の様子を窺う千冬にドラケンが声を掛けた。
「間に合ってよかったね」
「おー。マジで焦ったわ」
「聞けよ千冬、こいつさ」
ドラケンは千冬にもマイキーが大事なレースで調子に乗ってトチった話をしていた。
東京卍會が解散して11年。
みんなそれぞれの道を進んでいる。
マイキーはバイクレーサー。カノはマドカと同じ病院で看護師として勤務しており、ドラケンはマイキーのチーム"トップオブマンジ"のメカニックを務めている。
「ほら、スポンサーもブチ切れてんぞ」
「はい」
「大損」
「いいじゃんよ。オマエらしこたま儲けてんだろ?」
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