第62章 これからも家族3人で幸せに(❤︎)
「この先も一生オレを愛して。死ぬまで離さないで。オレも死ぬまでオマエを愛して離さねぇから」
「っ……………」
重めの愛をぶつけられても、それが嬉しいと思ってしまう。やはり重症なのだ。彼の愛は自分をおかしくさせる。お菓子のように甘くて溶けてしまいそうになるほどに。
「オレらがいるの忘れてね?」
「完全に二人の世界入ってんな」
「イチャつくなら帰ってからにしろや!!」
「甘すぎて胸焼けしてきたんだけど」
「なんかハート飛んでんのが見える!!」
幸せそうに笑い合う二人を見たドラケンは、ふと柔らかな表情を見せる。
「(心配するだけ無駄だったな。…アイツが手放した時点で二人の関係は終わったと思ったけど…今度は幸せそうだ。……ん?"今度は"?)」
自然と出た言葉に引っ掛かりを覚えたが、二人の幸せそうな顔を見たらそんな疑問は消えた。
◇◆◇
それから"黒い衝動"による事件は起こらなかった為、マイキーは真一郎からCB250T(バブ)を誕生日プレゼントとして贈られた。
そして───……
8.3抗争で刺殺されたドラケン
血のハロウィンで自決した場地と逮捕された一虎
関東事変で撲殺されたエマ
前の世界線で死んでしまった彼らの運命は、カノト達の活躍により"最悪な事態"を回避することができたため、誰も死ななかった。
「オマエら全員今日から東卍だ!!」
全員を救った後、十代目黒龍と天竺を東京卍會に組み入れることに成功した。
◇◆◇
「タケミっち、カノ。これで全国制覇だな」
「やっと…終わりましたね…」
「三人で目指したゴールに辿り着けました。今度こそ本当にみんなを救うことができましたね」
「ああ…」
建物の上で夕日を見ながら涙を流して喜ぶ三人。かつて最愛の人を亡くし、退屈な世界で死んだように生きていたカノト。けれど過去へと戻る力を手に入れ、大好きな人との出会いと別れを繰り返し、やがて『最悪な未来』に終止符を打つことができた。
「(やっと…望んだ未来にたどり着けた。)」
誰も死なない世界。何も失わない未来。
三人が懸命に走り続けたことによって
すべてが救われた────。
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