第6章 幸せは一瞬で終わりを告げ
「マイキーくん」
「……………」
屋上で仰向けに寝そべっていたマイキーはカノトに名前を呼ばれると閉じていた目を開け、その表情はどこかスッキリしない様子だった。
「なぁカノ。オマエはあの時オレにこう言ったよな?“愛美愛主との抗争を止めてください”って。あれってさ…何で?」
「え?」
「その理由、まだ聞いてなかったろ。オマエは何であんなに必死になって、東卍と愛美愛主の抗争を止めようとした?」
起き上がったマイキーがカノトを見る。
「理由は…」
「…………」
「…夢で、見たんです」
「夢?」
咄嗟に嘘を吐く。
「その…東卍と愛美愛主が争いを始めて…そこでドラケンくんが刺されてしまう夢を見てしまったので…」
「だからいち早く気づけた?」
「はい……」
「随分とリアルな夢だな?」
「僕もそう思います。まさか正夢になってしまうなんて思ってもみませんでした…」
「なるほどね…」
マイキーはじっとカノトを凝視している。その視線に堪えられず、逸らしてしまう。
「ま、深く追いつめてオマエに嫌われても困るし…今はそれでいーや」
立ち上がったマイキーは下りると、カノトに近付く。
「最後にひとつ教えて」
「?」
「オマエは一体何者だ?」
唐突な質問に驚いてヒュッと息を呑んだ。訝しげに自分を見るマイキーに、咄嗟に言葉が出て来ず、言葉を詰まらせてしまう。
「ぼ、僕は…僕、は…」
マイキーくん
まさか全部気づいてる!?
「…………」
「(早く、早く何か言わないと…!)」
そう思えば思うほど余計に頭が混乱した。
「…無理やり聞き出しても無駄か。タケミっちと言いオマエと言い、ホント不思議だな」
そう言ってマイキーは笑った。
「ねぇカノ、またオレと一緒にどっか行こうよ。祭りだけじゃなくて、オマエともっとたくさん、楽しい事がしたい」
「!」
「だからオマエが行きたい所にオレも連れてって。普段どんなトコ歩いて、どんな店に行って、どんな風に過してんのか知りたい」
「…………」
「ダメ?」
カノトは首を横に振る。
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