第6章 幸せは一瞬で終わりを告げ
ドラケンが入院している病院にフルーツの盛り合わせを持ってお見舞いに訪れた。
「ドラケンくん、こんにちは」
「おーカノ」
「お見舞いに来ました。フルーツの盛り合わせ買ったんですけど苦手だったりします?」
「いや、食えるよ。わざわざ悪ィな」
フルーツが入ったバスケットを置き、改めてドラケンに向き直る。
「調子はどうですか?」
「このとーりピンピンしてる」
「でもまだ安静にしてくださいね」
「ありがとな。オマエにも礼言わねぇとって思ってたんだ。マジで感謝してる」
「お礼ならもう聞きましたよ。それに頑張ってくれたのはタケミチくんです」
「謙遜すんなよ。あの下っ端共を蹴散らしたのオマエだろ。あれで見事にオマエへのイメージを覆されたわ」
「それまではどんなイメージだったんですか?」
「顔だけ良くて、喧嘩するとタケミっちの次にやられそーな弱っちぃ奴。あと運動音痴で走ると何もない所で派手にすっ転んですぐ泣きそうなイメージだな」
「そんな風に思ってたんですか!?」
ガーン!!…とショックを受ける。
「でもあの日でオマエへのイメージがひっくり返った。蹴りと背負い投げと猫騙しで相手をノす奴、初めて見たわ」
ドラケンは可笑しそうに笑う。
「オマエ面白い奴だったんだな。マイキーが気に入るのも納得だわ」
「!」
「アイツさ、オマエの事マジで大事にしてんだよ。だからちゃんと見ててくれな?」
「僕が…マイキーくんを?」
「アイツにはオマエが必要だ。頼まれてくれるか?」
「わかりました」
頷けばドラケンは小さく笑う。
「タケミっちもさっき来てたんだよ」
「タケミチくんもですか?」
「ダセェ服着てたな。ありゃねーわ」
「(どんな服だったんだろ…)」
「アイツにさ、特攻服渡したんだ」
「特攻服?」
「“東卍”立ち上げの時、マイキーが着てた特攻服だ。まぁ“東卍”にとって命みてぇなシロモンだ」
「それを彼に?」
ドラケンは頷く。
「アイツに会ってくだろ?」
「!」
「多分屋上で昼寝でもしてっから」
ドラケンに教えてもらい、屋上に向かった。
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