第61章 巡り会って、また恋をして。
「早く食べてくれます?」
「"あーんして"って言って食わせて」
「(私の恋人は我儘な上に面倒くさい。)」
そんなことを言うとまた拗ねモードに突入されても困るので心の中に留めておいた。
「あーんしてください」
「あーん」
パクっと口に含み、上下に顎を動かしてしっかりと噛んでからごくっと呑み込んだ。
「やっぱり食わせてもらった方が倍美味い」
「それは良かったです」
既にもうシッポの部分しか残っておらず、マイキーが食べやすいようにたい焼きを持ち替え、また口許に差し出す。
するとマイキーは口を開けるとたい焼きのシッポ…の先にあるカノの指先ごとパクっと口に含んだ。
「私の指まで食べちゃダメですよ」
引き抜こうとすると手首を掴まれる。
「ちょっと万次郎くん…」
「……………」
ぺろっと指先にマイキーの舌が這い、ビクッと反応したカノは驚いてマイキーを見る。
「な、何で舐めるんです!」
「甘い味する…」
「ひゃっ」
今度はしっかりと、指先にねっとりとした舌触りが伝わり、ピクッと小さく反応したカノはムッと顔をしかめる。
「その舐め方…なんかイヤです」
「イヤって?普通に舐めただけじゃん。こうやって…、ん…」
「そ、れが…普通じゃないって…言って…っ」
「相変わらずイイ反応するよなー。ちょっとえっちな舐め方しただけで目うるうるさせてさ」
「誰のせいだと…っ」
「ウン、オレのせい❤︎」
微かに頬を紅く染めて、涙目で自分を軽く睨むカノにマイキーはにんまりと笑い、声を弾ませる。
「もう放してください…!」
「カノからちゅーしてくれたら放してやってもいーよ」
「!!」
「分かってると思うけど頬じゃなくて、ちゃんと唇にな」
「いつもは万次郎くんからするじゃないですか…」
「今日はオマエからのキスがほしいの。ダメ?」
「…そういう聞き方はズルいと思います」
「こういう言い方すればカノが断らないって知ってんだ。ごめんな?」
全然ごめんなんて思ってない顔で笑い、カノと自分の指先を絡めて優しく握る。
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