第61章 巡り会って、また恋をして。
「もういいだろ。これ以上オマエらに構うとカノと一緒にいる時間が減る。早く部屋に行こうぜカノ」
「それじゃあ、また。」
玄関に向かって歩いて行く二人の後ろ姿を見送る三人。
「カノとオレらに対する接し方違くね?」
「当たり前じゃん。彼女なんだから。ていうか明らかに邪魔すんなって顔してたよ」
「独占欲の塊だな!」
「笑って言う事じゃないと思うけど」
「そっか…マイキーにも大事な存在ができたんだ」
先程のマイキーのカノを見る目が愛しさで満ちている事に気付いていたエマは、嬉しそうに微笑みながら二人のこれからを応援した。
◇◆◇
「少し冷めちゃいました…」
「冷めても美味いからいーよ」
「あんことカスタード、どっちがいいですか?」
「両方♪」
「だと思いました」
マイキーの部屋に移動した後、ソファーに並んで座り、持ってきたたい焼きを食べ始める。紙袋からあんこ入りのたい焼きを取り出してマイキーに差し出す。
「はい、どうぞ」
「食べさせて❤︎」
「自分で持って食べてください」
「拒否られた…オレのこと好きじゃねぇんだ」
「どうしてそうなるんです」
「オレのことが好きなら拒否ったりしねーじゃん。ね、オレのこと好きだよな?愛してるよな?」
「(また面倒くさいことを…)」
「オレはどんなモノでもそれがカノからの愛だって思ってるから全部受け入れるよ。だからオマエもオレから与えられるものはどんなモノでも拒否ったりしないで全部受け入れてよ」
「(そして相変わらず激重感情。)」
前より更に言動が不穏になり、自分に向ける愛が鬼レベルでパワーアップしている気がした。でも闇堕ちの気配はないので安心したが、このままじゃマイキーの機嫌が直らない為、結局最後はこっちが折れてしまうのだ。
「ちゃんと好きだし愛してるので安心してください」
「!」
「次からは自分で持って食べてくださいね」
「ホント優しいなぁカノは」
たい焼きを口許に近付けるとマイキーは嬉しそうに笑う。
「万次郎くんが我儘だからです」
「そんなオレも好きなくせに♪」
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