第61章 巡り会って、また恋をして。
「でも突き放したのにも、傷付けたのにも、ちゃんとした理由があったんですよね。"黒い衝動"に呑まれた自分を私に近付けさせたくなかった。そんな自分から私を守ろうとしてくれたんですよね?」
何も答えないマイキーだったが、辛く歪められた表情が答えを物語っていた。
「私…全然知らなくて…万次郎くんは本気で私の存在が邪魔になったんだって失望しました。でも貴方の口から本心を告げられた時、酷く自分を責めました」
「何でカノが自分を責めるんだよ。悪いのはオレだろ?」
マイキーの言葉を否定するようにかぶりを振る。
「ずっと一緒にいたのに…万次郎くんの抱えている悩みも背負ってきた業の深さも、何も分かってあげられなかった」
じわりと目頭が熱くなるのを感じた。
「貴方は自分を犠牲にしてまで、私の幸せが壊れないように守ってくれていたのに…私のことを想って…手放す決断をしてくれたのに…それなのに私…」
「泣くなよカノ」
溢れそうになる涙を人差し指で拭ってくれるマイキーの優しさに嬉しくなって笑みが浮かぶ。
「万次郎くん…好き」
「うん…オレも好きだよ、カノ」
「これからもずっと傍にいてください」
「何があってももう二度と絶対に手放さない。もう後悔はしたくない。歩む道は間違えない。オレを諦めないでくれてありがとな」
ギュッと抱き締められ、カノも背中に腕を回して抱き締め返した。
「………。あのさ、カノ。」
「はい?」
「ちゅーしていい?❤︎」
「…何でそういう流れになるんです?」
「さっきの1回じゃ全然物足りねぇ」
「この姿ではちょっとイヤです」
「イヤとか言うな!傷付くだろ!」
むっと不満げな顔を浮かべて駄々を捏ね始める。
「いいじゃんちゅーくらい!」
「今のお互いの姿分かってます?子供ですよ?なんか罪悪感があってする気になれないです」
「する気になれないって言われた…。オレのこと好きじゃないんだ。ショックで死にそう…」
「本気でシャレにならないんで死ぬとか言わないでもらえます?」
両膝を抱えてズーンっと落ち込むマイキーの不穏な言葉に"久しぶりに始まった…"と呆れ顔を浮かべる。
.