第61章 巡り会って、また恋をして。
「(本当に…もう関わらないって決めてたの。この人の幸せが壊れないように守ろうって。でも…あそこまで言われたら…もう…)」
「………。カノ、こっち見て。オレの顔。」
マイキーはソファーに座り直し、カノは顔を上げる。
「もっかい聞くよ?カノ、オレのこと、本当に覚えてない?」
「……………」
「もし覚えてんなら、オレのこと抱き締めてよ」
真剣な表情で問いかけるマイキーにカノの涙腺が緩み、両手を広げてマイキーに抱き着いた。
「っ…………」
飛び込んできたカノに驚いて目を見開いたが、すぐに口許を緩めて嬉しそうに笑い、小さな体をギュッと抱き締め返す。
「ほらな…やっぱ覚えてんじゃん。知らないフリするとかマジでやめろよ。オマエに忘れられてすげーショックだったんだぞ」
「…私と関わった事で、万次郎くんの幸せを壊すんじゃないかって怖かったんです」
「だからオレの幸せを守るために他人のフリして、二度と関わらないつもりだった?」
カノは返事の代わりに小さく頷く。
「バカだなカノ。オレの幸せはオマエがいることで成り立ってんだよ。それにこの先の未来にオマエがいないなら…オレはいくらでも今の幸せを捨てるよ」
「っ…………」
「前から言ってんだろ?オレはオマエと二人で幸せになりたいって。オレだけが幸せでも意味ねぇんだ」
「万次郎くん…」
「だから今度こそこの世界で幸せになるんだ。オレとオマエの二人で」
体を離してマイキーが微笑んで言う。
「オレがオマエにしてきた事は何一つ許されない。たくさん泣かせたし、たくさん傷つけた。それでもオマエに傍にいてほしい。自分勝手で呆れちまうかもしれねぇけど…これからもオレの傍にずっといてくれる?」
手を絡め取られ、ギュッと握られる。カノは寂しげな瞳で視線を落としているマイキーに少し意地悪げに言った。
「私、寂しかったんですよ。万次郎くんに突き放されて、たくさん傷付けられました」
「うん…」
「"もう知らない""この人のことは諦めよう"って思ったんです。もうこの関係を終わらせようって」
繋がれた手にピクリと力が込められた。
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