第61章 巡り会って、また恋をして。
「何だよそれ…オレが誰とでもキスするような奴とでも思ってんのかよ。オマエのことが本気で好きだからしたに決まってんだろ」
「あ…ご、ごめんね…」
「本気で悪いと思ってんならさ、カノからオレにキスしてよ」
「え…?」
「まさかできないなんて言わないよな?だってオレはオマエが好きで、オマエもオレが好きだろ?ずぅーっと前からそうだったよな?」
「ま、万次郎くん」
「なぁ早く」
グッとマイキーとの距離が近付き、顔を寄せられる。ビクッと体を震わせたカノは自分の失言のせいでガチギレしてしまったマイキーが怖くなって、ギュッと掌を握り締める。
「か、帰る…」
「え?」
「漫画、貸してくれなくていい、ので…、あの…もう帰る…っ」
「は!?えっ…、ちょ、ちょっと待って!!」
本気で帰ろうとしているカノを見て焦ったのか、慌てたマイキーは立ち上がったカノの手をパシッと掴む。
「違う…!ごめん…っ!!今のはホントごめん!!オマエに好きでもない相手とキスするのはダメって言われたから頭に血が昇ったんだよ…!」
「……………」
「頼むから帰んないで…。ごめん…怖がらせるつもりじゃなかった。本当に本気でカノのことが好きだから…オレから離れていこうとしないで…」
今度はマイキーが声を震わせて怯える。
「(私を失うのが怖いって顔してる…。別にこれが最後なんて言ってないのに…)」
「オレ…」
「!」
「ずっと前からカノに惚れてるんだ…。オマエは忘れてるかも知れないけど…誰かに恋をするのなんて初めてで…だから余計にカノに依存しちまってるんだと思う」
マイキーは寂しそうな瞳をカノに向ける。
「カノ、好き、好きだよ。たとえもうオマエの特別になれなくても…オレはこの先も永遠にカノだけを愛すって誓うよ」
「っ…………」
「って…さっきから一人で喋ってごめんな。そうだ、なんか飲む?淹れてきてや──」
ソファから立ち上がろうとするマイキーの服に手を伸ばし、ギュッと掴んだ。
「!」
引き止められたマイキーはゆっくり後ろを振り向く。
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