第61章 巡り会って、また恋をして。
「ぷっ、はは!おもしれー顔!」
「何で笑うの!?万次郎くんが貸してくれるって自分で言ったのに本気で忘れてるからショックだったんだよ!!」
「ごめんごめん。ちゃんと貸すって。えーと…こないだ読んだのどこやったっけ…?」
ソファーから立ち上がり、本棚の方に近付いて行ったマイキーの後ろ姿を見ながら、むぅぅっと頬を膨らませる。
「(まさか私を部屋に呼ぶ為の口実だった?…万次郎くんなら有り得る。)」
「お、あった。カノ、これマジで面白いから読んでみろよ」
渡された漫画はギャグ要素強めの内容だった。マイキーがオススメするのだから多分面白いのだろう。カノはパラパラとページを捲る。
「(この漫画知ってる。兄さんも面白いって読んでたな。そんなに人気なんだこの漫画。)」
「……………」
「(兄さんも持ってるかな。帰ったら聞いてみよう。)」
漫画を読んでいるカノの横顔を無言でじっと見つめているマイキー。彼の瞳には14歳のカノと今のカノの姿が重ねて見え、驚いた顔で息を呑む。
「カノ」
「?」
静かに名前を呼ばれて漫画から視線を外し、マイキーの方を見た瞬間…。
ちゅっ
「!!?」
唇に温かい感触が伝わり、気付けばマイキーの顔もドアップに迫っている。何が起きているのか分からず、唇が離れるのを待つと、マイキーがニッコリと微笑んだ。
「しちゃった❤︎」
「っ〜〜〜!!!」
「あーやっぱすげぇ可愛い。顔真っ赤にさせて頭ん中ぐるぐるしながらも、オレにちゅーされたこと必死に理解しようとしてんの好き」
「な、何するの…!!」
「怒った顔も可愛くて好き❤︎」
「そうじゃなくて!!どうして私にキスしたの!?」
「真剣に漫画読んでるカノが可愛くて。つーか何でそんなに怒んの?」
カノが自分に怒る理由が本気で分からず、マイキーは頭に疑問符を浮かべる。
「か、可愛いって理由で好きでもない相手とキスするのはダメだよ…!!」
「…は?」
「っ、」
マイキーの声が低くなるとピリついた空気が流れた。カノは今の自分の発言が失言だった事に気付き、慌てて口を噤んだ。
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