第61章 巡り会って、また恋をして。
マイキーと別れた後、気付けば白猫を抱いたまま、マンションの前まで歩いて来ていた。
「あ…君も連れて来ちゃった」
「にゃあ」
「ねぇ白猫さん、このままウチの子になる?」
「にゃあ!」
「ふふ、元気な返事。大丈夫だよ、兄さんならきっと君を快く迎えてくれる」
胸に擦り寄って来る白猫の頭を撫でながら、マイキーのことを思い出す。
「(完全に気付いてた…私がカノだって。…すごく傷付いた顔してたな。それでも必死に私との関係を繋ぎ止めようとしてる。)」
複雑な気持ちの板挟みになるも、今は考えるのをやめて白猫を見る。
「キャシー、おうちに帰ろう」
「にゃー」
尻尾を揺らして鳴いたキャシーを連れて帰宅する。帰って来るなり見知らぬ猫がいる事に最初は驚いたマドカだったが、"俺が傍にいない時は妹を頼むな"と頭を撫で迎え入れてくれた。
◇◆◇
次の日───。
「カノ、見っけ❤︎」
「!?」
「フハッ、すげぇビックリするじゃん」
「どうして此処にいるの!?」
「会いたくて来ちゃった❤︎」
学校帰りに近くの図書館に寄って本を借りようと歩いていれば、何故かそこには同じく学校帰りのマイキーが黒いランドセルを背負って待ち伏せしていた。
「カノってあそこの小学校なんだな。オレと同じじゃねーのは残念だけど、帰る道は一緒ですげー嬉しい❤︎」
「(万次郎くんもこの道使ってるの!?)」
「ドコ行くの?オレも着いてっていい?」
「図書館だよ。読みたい本があって。」
「えー、図書館なんてつまんねーじゃん。本なんか借りないでオレと一緒に遊ぼうぜ!」
相変わらず唯我独尊を貫くマイキーの我儘に困った顔を浮かべるが、本人は不満げだ。
「佐野くんはつまんないかもしれないけど…私は借りたい本があるから行くよ」
「……………」
「佐野くん?」
「それヤダ」
「え?」
「"佐野くん"なんて他人行儀みたいだろ。カノに苗字で呼ばれんの嫌い。だから万次郎って呼んでよ」
「えっと…」
「呼んでくんねーと拗ねるよ」
じぃ〜っと不服そうな顔で凝視され、ますます困った表情を浮かべるカノ。
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