第61章 巡り会って、また恋をして。
「優しいんだな」
「そうかな?」
「いくら前に飼ってた猫に似てるからって、今探してんのは野良猫だろ。家族でもねェのに必死になって見つけ出そうとしてんのはオマエが優しい証拠じゃん」
「そんなふうに言ってもらえるなんて思わなかったから嬉しい。ありがとう。」
ニコッと笑ってお礼を言うと、何故かマイキーは驚いた顔で目を見張る。
「?どうかした?」
「…いや、何でもねぇ」
「(一瞬、何か考え込んでたような…)」
「もっかい探してみようぜ。案外一度探した場所に居たりするからな。ほら、行くぞ。」
何かを誤魔化すように白猫の捜索に戻ろうとするマイキーの様子に疑問を抱いたカノだったが、深くは追求せず、一度玄関の方へ引き返すことにした。
「なァあそこにいるの…探してる猫じゃね?」
「え?」
マイキーの視線を辿るように顔を向けると、玄関の前で前足をぺろぺろと舐める白猫がいた。
「キャシー!」
見つけた安心感からか、思わず以前飼っていた白猫の名を呼んで駆け出したカノ。
「…キャシー?」
走る後ろ姿を見ながら、カノが咄嗟に呼んだ白猫の名前に違和感を覚えるマイキー。
「どこ行ってたの?心配したんだよ」
「にゃあ」
「怪我してなくて良かった…」
ホッと安堵の息を零し、擦り寄ってきた白猫の頭を優しく撫でる。
「見つかって良かったじゃん」
「うん!」
嬉しそうに喜ぶカノの隣に立ったマイキーは、ふとランドセルに付けられているキーホルダーに書かれた名前が目に入る。
「もう帰ろう」
白猫を抱きかかえて立ち上がる。
「…"カノ"?」
驚きを含んだ声で名前を呼ばれた瞬間、カノはピタッと動きを止めた。
「オマエ…もしかして…」
「白猫さん見つけてくれてありがとう!!」
マイキーが何か伝える前に振り返り、頭を下げお礼を言って、そのまま立ち去ろうとする。
「は!?待てよ!!…カノ!!」
逃げるように帰ろうとするカノの腕を咄嗟に掴み、引き止めるマイキー。
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