第61章 巡り会って、また恋をして。
「うちに迷い込んだ白猫をこの子と一緒に探してやってくれ」
「猫?」
「っ…………」
不思議そうな声を出してカノを見る。
「オマエ…」
「(会っただけで泣きそうになるなんて…いつからこんなに涙腺が弱くなったんだろ。体は子供とは言え、中身はもう26歳の大人なのに。)」
「誰?」
「!!」
思わず涙ぐむも、マイキーが自分のことを覚えていないことにショックを受ける。
「(やっぱり覚えてないか…。寂しいけど仕方ないよね。彼が忘れても私はちゃんと覚えてる。貴方がくれた愛も思い出も全部。この世界で抱えて生きていくから…どうか忘れたままでいて……───)」
ギュッとスカートの裾を握り、悲しげに瞳を揺らしながらも、マイキーの幸せを願う。そして真一郎は二人に白猫探しを任せ、出掛けて行った。
「……………」
「行かねぇの?」
「え?」
「白猫、探すんだろ。めんどくせぇけどシンイチローに頼まれたからな。付き合ってやる。」
「あ、ありがとう!」
面倒くさいと言いつつも一緒に探してくれるマイキーの優しさにカノはお礼を言う。
「で、白猫の名前は?」
「名前…えっと…」
「もしかしてねぇの?」
「あの子、野良だからまだ名前ないの。勝手に名前付けるのもいけないと思うし…」
「ふぅん。猫ってさ、よく軒下とかに隠れてるって言うし、そっから探してみようぜ」
「うん」
こうして二人は何処かに逃げ込んだ白猫を探す為の捜索を始めた。マイキーの言った通り、軒下を覗いてみるけど白猫がいる気配はない。
「いないね…」
「暗くて奥まで見えねーな」
「ここにはいないのかな」
「他の場所もいないか探そうぜ」
白猫が逃げ込んでそうな場所を探し回るが、一向に見つからず、二人は困った様子で佇む。
「はぁー見つかんねー」
「(万次郎くん、飽きてきたかな…)」
「こんだけ探して見つかんなきゃもうここにはいないんじゃね?」
「でも…出て行った気配もないし」
「つーか何でそこまでしてその猫見つけたいの?」
「前に飼ってたうちの猫に似てるから心配なの。だから早く見つけてあげないと」
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