第60章 愛から生まれた呪い
「花垣!!もうわかったろ!?呪いは消せねぇ!!マイキーと黒い衝動はもう切り離せねぇ!!二つで一つなんだ!!」
二人の戦いの様子を見ていた三途が叫ぶ。
「オレはそんなマイキーに…心酔して付いて来たんだバカヤロー!!」
「(呪いが全ての元凶。呪いのせいで真一郎さんも場地さんもエマちゃんもドラケンくんも死んだ。"黒い衝動"からは決して逃れられない。)」
「テメェも死ぬぞ花垣!!」
「(それでも信じるんだ。彼なら…私が信じるヒーローなら、絶対にあの人を救ってくれるって──!!)」
バチンッ
「(え?)」
『タケミチくん…っ!!!』
タケミチくんが…
あの人に刺されてる…?
『何度でも…やり直して…オレが…助けるんだ』
『君と…皆と…笑って…、………、………。』
「…………っ!!」
ハッとしたカノトが驚いた顔を浮かべる。
「(今の…何?タケミチくんがあの人に刺されて…死んだ…?)」
その感覚に覚えがあった。
「もしかして…未来視(ビジョン)…?」
その瞬間、挫いた足の痛みも気にせずに走り出す。もし未来視で見た事が現実に起こるなら、これからタケミチはマイキーに刀で体を貫かれて死ぬ。
「(そんなの絶対にダメ!!私が止めなきゃ…!!この未来は私にしか分からない!!)」
誰かが自分の名前を呼んで止まるように叫んだが、今のカノトにはどんな声も耳に入らない。
そしてマイキーに向かってタケミチが駆け出した時、目の前に突然飛び込んできたカノトの姿に驚いて目を見開いた。
ザンッ
「………え?」
「っ…………」
何が起きたか分からずタケミチは固まる。刀で体を貫かれた強烈な痛みに顔を歪めるが、マイキーとの距離を縮める為、更に刀を深くまで突き刺し、両手でマイキーの体を抱きしめる。
思わぬ行動にマイキーが笑みを消す中、カノトは痛みに堪えながら口を開く。
「…僕も一緒に背負います。黒い衝動も呪いも。もし…貴方が闇に呑まれて、正しい道を歩めなくなったとしても…ずっと傍にいます。貴方は…僕の世界で一番、大事な人だから…」
「大事な人?」
カノトの言葉に動きを止めるマイキー。
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