第60章 愛から生まれた呪い
マイキーの話を聞いたカノトの目からツゥー…っと涙が流れた。
「それは周りにも影響を与える。あの時の一虎も多分そうだった。オレの背負った業。」
「(…知らなかった。真一郎さんの過去も、この人が背負ってきた業の深さも。ずっと一緒にいたのに…傍にいたのに…何も知らずに幸せを感じていた自分を殴りたい。)」
「この"黒い衝動"はオレを蝕む。どんどんどんどん強くなって、もう抑えきれそうにない。だから仲間を突き放した。だから…手放したくないもんを手放した」
「っ…………」
「離れるしかなかったんだ」
苦しげにそう明かすマイキーの独白を聞いたカノトの顔が泣きそうにくしゃりと歪む。
「今にも暴れだしそうだから」
「もう抑えなくていいですよ」
「え?」
「二代目東京卍會は、君を救う為に結成した。だから黒い衝動を思いっきり解放してください」
タケミチがこちらに視線を向ける。その瞳に込められた思いを知ったカノトは少し涙を浮かばせた顔で強く頷く。
「未来が見えるオレだからできる事がある。いやっ、オレにしかできねぇ。黒い衝動をぶっ潰す!!」
マイキーに向けて拳を突き出すタケミチ。目の前の光景を見て三途が思わず涙を零す。
「解き放てよマイキー君」
「どうなっても知らねぇぞ」
みんなが見守る中、マイキーは"黒い衝動"を解放させる。
「全部終わらせよう!」
禍々しい殺気を放つマイキーを前にしてタケミチの表情もぐっと引き締まる。
「(もう悩むのもやめだ。もういい。この"黒い衝動"に身をまかせよう。)」
地面に落ちていた三途の刀を拾うと、タケミチに向けて刀を振り上げる。
「あはっ」
タケミチの目の横に傷を残しつつも、狂気の笑みで笑うマイキー。
「オレの刀!!」
「タケミっち!!」
「刀の動きを見極めて!!」
マイキーが振り切る刀を後方に飛んで回避するタケミチ。
「(呪いは簡単には切り離せない。それくらいあの人の背負った業は大きい。でも…必ず反撃するチャンスは巡ってくる!!)」
「くあっ」
マイキーに殴りかかったタケミチは、逆に刀で右腕を斬られてしまう。
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