第60章 愛から生まれた呪い
「!?」
「なぁ少年。君にいつか本当に守りたい人ができて、どうしようもなくなった時、この力を使うといい」
そう言い、タイムリープの能力を男の子に譲り渡す。
「………?」
「うん、オレもちゃんと譲ってもらうべきだった。じゃあな少年。……君ならきっとうまく使う」
疑問の表情を浮かべる男の子を前にしてそう呟いた真一郎はその場を去って行った。
◇◆◇
「真ちゃんから聞いた話はここまでだ。真ちゃんは見知らぬ少年にタイムリープの力を譲った」
「なんの因果だろうな」
「(真一郎さんがタイムリープの能力を譲り渡した男の子って…もしかして…)」
マイキーとワカから真一郎の過去を明かされ、カノトは真一郎がタイムリープの能力を譲り渡した男の子の正体がタケミチであることを知る。
「(繋がってたんだ。ずっと昔にタケミチくんもヒナちゃんも稀咲も、真一郎さんと出逢ってた。あの日が彼の物語の始まりだったんだ。)」
◇◆◇
2003年───8月13日。
場面は過去へと遡り、トンネルの下を訪れるもホームレスの姿はどこにも見当たらず、帰路につく真一郎。
「ん?」
【S.S MOTORS】へ戻ってきた真一郎はドアのガラスが割られていることに気付きつつも、店内へと入っていく。
「オイ!!」
強めに声を掛けるとバイクに触れていた人物はビクッと体を跳ねさせる。
「なんだ…?ドロボーか?」
振り返った相手の顔を見て、その人物が場地であることに気付く。
「ケースケか?」
すると次の瞬間───……
「やめろ一虎あぁ!!!」
真一郎は背後からワイヤーカッターを手にしていた一虎に殴られ、頭から大量に血を流して倒れた。
『呪われろ!!呪われろ!!』
「(……、因果応報…か…)」
殺害したホームレスの言葉を思い出し、自分がしてきた事が返ってきたと思い知る真一郎だった。
◇◆◇
「武道(オマエ)に能力を渡した数日後、真一郎は死んだ」
「(…弟を助けたい一心で罪を犯した真一郎さん。でもその報いが最悪な形で返ってきた。こんな悲しい結末って…)」
「真一郎がタイムリーパーを殺した事で生まれた"呪い"。それがオレの"黒い衝動"の正体…」
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