第60章 愛から生まれた呪い
「この濁流なら…間違いなく死ねるよな」
「何バカ言ってんだよ!!そっから降りろよ」
「…今日は万次郎の事故があった日なんだ」
あの日に戻りたいと涙を流して口にする。
「ダメだよ!!真一郎君!!!」
春千夜が止めようと手を伸ばす中、手すりから川に向かって飛び降りていく真一郎。やっと楽になれると思いながら川に落ちていった真一郎だったが、ドクンという音と共に目を覚ます。
「どけどけー!」
「え?」
目を開いた真一郎の前には、コンコルドのプラモを手にして家の中を駆け回るマイキーの姿があった。
「(万次郎!?)」
「とう!!」
自分に向かってきたマイキーを避ける事ができず、顔面を蹴られてソファへと倒れ込む。
「(……夢?)」
自分は川に飛び降りて死んだハズである為、夢を見たのかと思うも、カレンダーが1999年の7月30日となっていることに気付く。
「(4年前の今日…?)」
「あんなのいつもなら避けれたじゃん」
プラモを手にそう口にするマイキーを見て、真一郎は思わず涙を浮かべるとそのままマイキーを抱きしめて号泣する。
「夢じゃない…」
「え?」
「万次郎、今からバイク乗らないか?」
目の前にマイキーがいる光景が夢ではないと気付いた真一郎は、自分が死んだハズの日からちょうど4年前にタイムリープしたと現状を理解し、人生をやり直せる、今度こそ自分がマイキーを守ると心に決める。
「じいちゃん!エマ!」
バイクを走らせた後、帰宅した途端に家の中に駆け込み、祖父の万作とエマが料理している光景を目の当たりにして、再び涙を浮かべる。
「やめろよマイキー!!」
廊下を雑巾がけしながら万作もエマもいる現状に最高だと涙する真一郎だが、突然場地の声が聞こえ、慌てて駆け付ける。
「笑えよ春千夜」
「え?」
真一郎の目の前には、黒い衝動に呑まれた様子のマイキーがいて、口から血を流す春千夜に怖い顔でそう言っていた。
◇◆◇
「なんであんな事を?」
「オレ…どうしちゃったんだろ…」
気付いたら春千夜の口を裂いていたと言うマイキーの表情は困惑しており、自分でも何であんな事したか分からないと真一郎に告げる。
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