第60章 愛から生まれた呪い
「…教えてもらったんだ、ワカから」
「え!?」
「"一つ目の世界線"のままなら、タケミっちもオマエも…こんなに苦労しなかったろうな」
「("一つ目の世界線"?一体、何を言ってるの?)」
「"黒い衝動(オレの呪い)"は愛から生まれた」
「愛?」
「"その男"はオレを救う為に時を遡った」
「"時を"…って、え…?」
「(待って…彼は何を言うつもり?)」
「佐野真一郎はタイムリーパーだ」
理解できていない様子を見せる二人に対し、マイキーは驚きの事実を明かす。
「マイキー君のお兄さんが…!?」
「(真一郎さんがタイムリーパー!?)」
驚愕の反応を見せるカノトとタケミチ。
◇◆◇
───最初の世界線。
「楽しいか?万次郎」
「おおーすげー!」
「ったく、最後の集会に弟なんて連れてくんなや」
「いいんだよ。オレがコイツの父親代わりだからよ。ガキの内から色々学ばせてんだよ。な!?万次郎。」
「おう!」
真一郎が運転するバイクの後ろに乗るマイキーは元気よく返事をする。
「バカか。どこの親が暴走行為を学ばせんだよ?」
「アホだなー真一郎!」
「ハハ、真ちゃんらしくていいじゃん」
初代黒龍の最後の集会に弟を連れて来ることを非難する武臣に対し、笑うベンケイと微笑むワカ。
「あーあ、結局マドカの奴、いくら勧誘しても黒龍に入ってくんなかったなー」
「ザンネンだったな、真ちゃん。」
「まぁな。でも妹と過ごす時間が減っちまうって言う理由なら強引に勧誘するわけにもいかねぇだろ」
「あいつシスコンだからな」
「マドカって誰?」
真一郎達の話を聞いていたマイキーが不思議そうに聞く。
「ん?オレの親友。妹以外には興味なくて、妹の為ならどんなことでもできちまう奴で、頭良いクセに喧嘩がめちゃくちゃ強いんだ」
「ふぅん…」
自分から聞いておいて、大して興味なさそうに返事を返すマイキー。
「なぁ!!オレも早くバイク乗りてぇ!!」
「バーカ、まだ早ぇよ」
「オレ真一郎より上手くなるよ」
その言葉に笑みを浮かべる真一郎だった。
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