第60章 愛から生まれた呪い
「(未来視-ビジョン-で一瞬先の未来が分かっていても、きっと避けるのに精一杯なはず。その状況の中で彼はなんとか躱し続けてる。でも…必ず隙はできる。)」
そしてその"隙"はやってきた。
「(今っ!!)」
「ここだぁあ!!!!」
「いけええタケミっち!!」
「全力でぶん殴れ!!」
千冬とカノトが声を上げる中、タケミチの会心の一撃が顔面にヒットし、地面へ突っ伏すマイキー。
「ついにマイキー君をぶっ倒しやがった!!」
タケミチがマイキーを倒した光景を目の当たりにし、驚愕の表情を浮かべる二代目東京卍會。
「クソデッケェ背中になりやがって。泣かせんなよ!」
「やっぱり君は本物のヒーローだ。最初の頃と比べたら随分と大きく成長したね」
自然と東卍コールが湧き上がる中、タケミチの背中を見た千冬は浮かんだ涙を乱暴に拭い、カノトは嬉しそうに口許を緩ませて笑う。
「…一発入れた程度でこの騒ぎか」
「かかってこいよマイキー君」
口の端から血を垂らしながら立ち上がるマイキーはハイキックを放つもタケミチはそれを上手く躱す。
「なんでまた戻ってきたタケミっち!?ビデオレターも見た筈だ!!」
タケミチに猛攻を仕掛けつつ、過去に戻ってきた理由をタケミチに問いかける。
「"東卍のみんなもヒナちゃんもオレが守る"」
マイキーの拳が振り翳されるもタケミチは躱す。
「"だからオレの事はほっといてくれ"って!!」
マイキーは苛立つようにギリッと歯を噛み締め、言葉を続けた。
「"アイツ"にもそうビデオレターで伝えた!!"もうオレのことは忘れて生きろ""オレにはもうオマエは必要ない""オマエが傍にいなくてもひとりで大丈夫だから""もう終わりにしよう"って!!」
カノトはビデオレターでマイキーが言った言葉を今でも覚えている。それが決別を意味するビデオレターであったことも。
「それなのに何でまだオレの前にいる!?守る為に全部捨てたのに!!アイツの存在を忘れる為に自分に暗示まで掛けたのに!!」
「!」
その言葉に驚いたカノトは目を見開いた。
.