第60章 愛から生まれた呪い

「うっ…」



頭を押さえながらカノトは立ち上がる。



「なぜ立つ？弱いオマエがオレに勝てると思ってんのか？」



「僕じゃ…貴方には敵いません。でも…未来の貴方と約束をした」



カノトの後ろでタケミチも立ち上がる。



「場地さんと約束した」



『マイキーを独りにしないでやってくれ』



「ドラケンくんと約束した」



『マイキーのこと頼むな』



「だから────!!」



カノトの横をタケミチが走り抜けて行く。



「僕達は絶対に負けられないんです!!」



マイキーに殴り掛かろうとするタケミチだが、呆気なく反撃されて吹き飛ばされる。



"こんなの何発も食らったら死んじまう"と思いながらも、最終決戦前にヒナの前で本心を叫んだタケミチは"恐怖は捨ててきた"と驚きを見せるマイキーの前で再び立ち上がる。



「まだ頑張れる…頑張れ、ヒーロー！」



足でまといになる事は分かっていた為、応援することしかできないカノト。何度も挑んでは、その度に反撃を食らうタケミチ。



「そろそろマジで死ぬぞオマエ」



「(もう目もかすれてきた。耳鳴りもひでぇ。でもっっ)」



「(タケミチくん…!!)」



「諦めねぇぞ!!!」



目を背けたくなるようなボロボロのタケミチを見てギュッと掌を握り締め、真っ直ぐに二人の戦いを見据える。



「(あれだけ攻撃を仕掛けても彼は無傷。相変わらず無敵だな…。このまま長引けばタケミチくんの体力が底を尽きる。それまでにどうにか決着に持ち込めればいいけど…)」



マイキーが目の前に迫り、蹴り飛ばされるタケミチを見てカノトは何故か引っ掛かった。



「(一瞬、タケミチくんが驚いた顔してた？あの人に蹴り飛ばされるからじゃなくて…別の意味で驚いた様子に見えた。)」



その引っ掛かりの答えが分からず、眉間にシワが寄る。



「どうした？マイキー君。アンタの蹴りはこんなモンか？」



「オマエ…本当に死ぬぞ」



再び立ち上がったタケミチに忠告をしながら距離を詰めて行くマイキー。



「(来る…)」



マイキーの攻撃が来ると思った瞬間、タケミチは再度自分が蹴りを受ける未来視(ﾋﾞｼﾞｮﾝ)を見る。



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