第59章 最終決戦
「っ!?」
流石に避けきれなかったのか、頬に拳が直撃し、半間は口の端から血を垂らす。
「へぇ…すげぇじゃん勇者チャン。このオレに一発当てるとは思わなかったワ。重くて優しいな…勇者チャンのパンチは。」
口の端に付いた血を親指で拭った半間は薄気味悪い笑みを浮かべる。
「でもそんな力じゃオレは倒せねーよ」
「!!」
「カノ…!!」
半間の拳が目の前で振り下ろされ、顔に当たる寸前で避けそうとしたら足を挫いてしまう。
「っ!」
そのままドサッと尻もちをついて地面に座り込む。ズキズキとする足首を押さえ、顔をしかめる。
「(無理な体勢で避けようとしたから足が…)」
「本気で顔狙ったワケじゃねぇんだけど…避け方が悪かったな勇者チャン。立てねぇならオレがおぶってやろうか?❤︎」
「断る!!僕に触るな!!」
キッと半間を睨み付けた。
その時───……
プァァァンッと遠くの方から何かが聞こえた。
「(何?今の音…)」
カノトは音がした方向に顔を向ける。
「え……?」
レールの上を走る列車の存在に気付いたカノトはヒュッと小さく息を呑み、片足を庇うような形で慌てて海凪の元に駆け寄る。
「海凪ちゃんまずい事になった!!早くここから離れて!!」
「カノ…?」
「暴走した列車がこっちに突っ込んで来る!!!」
カノトの叫んだ声に東卍も関東卍會のメンバーも列車の存在に気付き、ザワつき始める。
「うぁあ!!」
「逃げろ逃げろ!!」
「カノ!走れる!?」
「大丈夫!!」
逃げ惑う人々がパニックになる中、列車はブレーキ音を響かせながら分岐点の前で停車した。
「停まった…?」
「一体何が起きて…」
危うく大事故に繋がるところだったが、カノトは何が何だか分からず混乱している。
「………、三途か…」
列車を動かしていたのが三途だと察するマイキー。ボーッとしている関東卍會に対して声を荒らげるように大声で叫んだ。
「テメェら!!なにボーッとしてやがる!!二代目東京卍會はもう虫の息だ!!完膚なきまでにぶっ潰せ!!」
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