第59章 最終決戦
「アレは怯えてたんじゃなくてビックリしてたんだろ。急にオレが結婚なんて大胆告白しちまったせいで。な?そうだよな?勇者チャン。」
半間が狂気を孕んだ目でニコッと笑う。それに対してカノトが無言で睨んでいると、どこかで『副総長がモッチーブッ倒したぞ!!』『こっちは弐番隊コンビが灰谷兄弟ブッ倒したぞ!!』という歓喜に包まれた声が聞こえた。
「へぇ、意外とやるじゃない」
「千冬くん…三ツ谷くん八戒くん…」
離れた場所で仲間が命懸けで戦って勝利を収めた事にカノトの表情にも笑みが浮かぶ。
「今の時点では二代目東卍が有利!」
「でも油断は禁物。アンタ達は少数精鋭。だから"一人でも"突破されたら」
「流れは一気に関東卍會(むこう)に傾く…!」
「一気に片が付いてきたわね」
東卍コールが響き渡り、二代目東京卍會の盛り上がりは更に上昇する。
二人の意識が逸れているのを見逃さなかった半間は、一気に距離を縮め、海凪に向けて拳を振り下ろした。
「っ、海凪ちゃん!!」
「見えてる」
海凪は顔に当たる寸前で体を後ろに逸らして半間の攻撃を躱す。
「反応早ぇな。やっぱ一筋縄じゃいかねぇか…」
半間は苛立ちを浮かべて舌打ちをした。
「なぁ勇者チャン。オレに気に食わないところがあるなら全部直すからさ…こっちに来てくれよ。オレは勇者チャンがいねぇと生きる意味がねーんだ」
「全部直しても君に心が揺れることはない。最初から何度もそう伝えてるだろ」
「その女に何吹き込まれた?」
「何も吹き込まれてない」
「そいつはオレらの仲を引き裂こうとしてんだぞ?今もオレの悪評を吹き込んで、勇者チャンからオレを引き離そうとしてる」
先程まで不気味なくらい愉しそうに笑っていた半間だったが、海凪が現れてからは鬱陶しそうに、どこか不機嫌そうに顔をしかめている。
「引き裂くに決まってるじゃない。この子はアンタを好きじゃないって何度も言ってるのよ。どうしてそれを理解できないの?」
「テメェには分かんねぇよ。勇者チャンを想うオレのこの気持ちが。勇者チャンはオレの運命の相手なんだ。運命の相手同士が結ばれんのは当然のことだろ?」
それを聞いた海凪は呆れて溜息が零れた。
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