第59章 最終決戦

「(まずい…半間の中で何かのスイッチが入った。あの目は…私を捕まえる目だ──!!)」



自然と一歩後ろに退くと、無表情の半間がその分一歩、距離を詰めてくる。



「(こっちから近付けば確実に捕まる。どこまで執着心が強いんだよ。そもそも最初の勝負はどこにいった…!!)」



「もう勝負とかダリィしどうでもいいわ。勇者チャンの意思なんて知らねぇ。オレのモンにしちまえば最終的に堕ちんだろ」



「っ…………」



「勇者チャン、つーかまーえた‪‪❤︎‬」



「(しまっ──……!!)」



冷や汗を流すカノトに不気味な笑みを浮かべた半間の手が伸びる。この手に捕まれば本当に最後、逃げられない。危険を感じたカノトが無意識に【誰か】の名前を呼ぼうと、口を開きかけた時…



「！？」



風を切るように半間の横から強烈な蹴りが飛んできた。瞬時に反応した半間は驚いた顔を浮かべつつも、体を少し後ろに背けて回避し、無表情で自分を蹴り飛ばそうとした相手を見る。



「手は出さないって決めてたけど…もう我慢の限界だわ」



「あ……」



「この子を傷付けるなら許さないわよ」



「海凪ちゃん…！」



自分を庇うように前に立つ人物が海凪だと分かると、パッと嬉しそうに笑うカノト。後ろを振り返った海凪はそんなカノトの顔を見て、口許を緩めて笑みを浮かべる。



「碓氷…どういうつもりだ？テメェは関東卍會だろうが。マイキーを裏切んのか？」



「アタシは関東卍會を辞める。今からアタシはこの子を守るために全力を尽くす。万次郎には申し訳ないけど…裏切り者として処分されても構わない」



「処分って…どういうこと？」



「…万次郎にキツく言われてたの。アンタを助けるような真似したら裏切り者として始末するって」



「え！？」



カノトは驚いて海凪を見る。



「でも後悔はしてないわ」



「自分の命が危険に晒されてるのに、どうして僕を助けてくれたの…？」



「当たり前のこと聞かないで。
アタシがアンタを助ける理由なんて一つよ」



海凪はカノトに歩み寄り、優しい笑みを浮かべる。



「アンタがアタシにとって大事な友達だから」



「！」



「それ以外の理由なんてないわ」



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