第59章 最終決戦
「……は?」
あまりにも早口で捲し立てる半間に恐怖を感じて掴まれてる手を引き離そうとするが、それは半間が最後に口にした言葉でピタリと止まる。
「勇者チャンとなら地獄に落ちたっていい。オレを勇者チャンの大事な奴にしてくれよ」
「はああああ!!?」
決して冗談で言ってないことは半間の顔を見れば一目瞭然だ。まさか公衆の面前で大胆に告白してくるとは思ってもおらず、カノトは驚きの余り叫んでしまう。
「おい…今結婚って言わなかったか?」
「半間がアイツに結婚申し込んでた」
「冗談だろ?男同士だぞ。」
「つーか半間ってアイツのこと好きなのか?」
「すげェ嫌われてるようにしか見えないけど」
周囲にいた奴らも半間の告白を聞いていたのか、驚いた顔を浮かべている。唖然としていたカノトだが、周囲のザワつきでハッとし、握られた手を強く振り払うと、不愉快そうな顔で半間を睨む。
「ついに頭までイカれたか?あぁ、最初からイカれていたな君の頭は」
「ばは❤︎めっちゃ罵倒すんじゃん♪」
「ふざけるのもいい加減しろ。どういうつもりだ?こんな場所で何を言っている?」
「こんな場所だからだろ。大胆に牽制しとけば誰もオレから勇者チャンを奪おうとする奴はいなくなる」
そう言って半間はチラリとコンテナの方に視線を遣る。つまらなさそうに傍観していたマイキーがこちらを見ていることに気付いた半間は、再び視線をカノトに戻した。
「な、いいだろ?勇者チャン。オレと生涯を共にしてくれよ。二人で幸せになろうぜ。」
「お断りだ!!地獄には君一人で落ちろ!!僕は君と幸せになる気はない!!それに生涯を共にする相手は自分で決める…!!」
「その相手はマイキーか?やっぱりまだ勇者チャンの中にはアイツの存在があるんだな。忘れられるハズねぇよな、勇者チャンにとってアイツは初恋の男だもんな」
「だからあの人のことなんてもう…」
「オレとアイツは何が違う?勇者チャンを愛する気持ちはオレの方が強いのに。ずっとずっと勇者チャンだけを想ってきたのに。何でオレを選んでくんねぇんだよ…勇者チャン。」
独り言のようにブツブツと呟いている半間の異様な雰囲気に恐怖を感じて体が震える。
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