第59章 最終決戦
「!!」
「はば❤︎驚いた顔も良いな勇者チャン!」
「この……ッ!!」
一瞬反応するのが遅れたが、グッと拳を握り締め、半間の顔目掛けて振り下ろす。
ガッ
「チッ」
「簡単に防がれちまったな♪」
最初の一撃は半間の手で防がれてしまった。
「もっと本気でやろうぜ勇者チャン!!」
今度は仕返しと言わんばかりに半間の拳が振り下ろされ、顔の前で咄嗟にガードをするが、腕に当たった拳の威力が重くて顔をしかめる。
「ぐ……っ!」
完全には受け止め切れず、後ろに軽く飛ばされたカノトはジンジンと痛む方の腕を押さえた。
「(一撃が重い。覚悟はしてたけどやっぱり強いな。それもそうか…コイツはあの人の強烈な蹴りも受け止めてた。私が拳を当てた程度じゃあまりダメージは与えられない。)」
「見ろよ勇者チャン。あそこでマイキーが退屈そうな顔で高みの見物してるぜ」
コンテナの上に座り、両チームの戦いを傍観しているマイキーの姿を、じっと見つめるカノト。
「高みの見物していられるのも今のうちだけだ。うちのチームの誰かが必ずあの人から勝利を勝ち取る」
「本気で言ってんのか?勇者チャン。相手はあのマイキーだぞ?今までアイツに勝てた奴なんていたか?アイツの強さは知ってんだろ?」
「確かにあの人は喧嘩で負けた事がない。でも強いだけじゃ駄目なんだ。強さだけで戦っても僕らには勝てない」
「随分とハッキリ断言するんだな。まさか花垣がマイキーに勝つと本気で信じてんのか?」
「信じてるからこそ彼に着いてきた。僕らは彼の強さを知ってる。その強さに込められた『想い』も。だから必ず佐野万次郎を救ってみせる…!!」
今度は片足を上げて蹴りを食らわすが、それも簡単に身体の重心を後ろに逸らした半間に躱される。
「やっぱおかしいよな…」
「は?何がおかしい?」
「マイキーを救うことが花垣の戦う理由なのは理解できた。けどオレには勇者チャンがアイツと同じ理由でマイキーを救うために戦ってるとはどうしても思えねぇんだよなぁ」
「意味が分からないこと言うな。なら君は僕がどんな理由で戦ってると思ってるんだ」
無表情の半間は何かを疑うような眼差しでカノトを見る。
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