第5章 ミッション失敗…?
「怖いよぅヒナぁぁ」
「エマちゃん…」
「タケミっち!」
「!」
「ドラケンは!?」
「ドラケンは無事か!?」
「三ツ谷君!!ぺーやん君!!」
事情を知らない二人にタケミチが説明する。
「クソっ」
「嘘だろ…キヨマサが?」
「病院につく前に…もう、脈が…」
手術中の明かりはまだ付いたまま。カノトはそれをじっと見つめている。
「タケミっち」
「マイキー君」
遅れてマイキーも到着する。
「ドラケン君が!!!」
「聞こえてたよ。待合室どこ?」
「マイキぃぃ」
「マイキーっ!!」
「マイキー!!オレ……!!」
「みんなうるせぇよ。病院なんだから静かにしろ!」
マイキーは椅子に座る。カノトもマイキーを見た。
「…ケンチンはさ、昔っから言った事は絶ッ対ェ守る奴なんだ。こんなトコでくたばんねぇよ。そんな不義理絶ッ対ェしねぇ。アイツ、オレと天下獲るって約束したからな」
マイキーはそう言って笑う。
「だからエマ、三ツ谷、ぺーやん、タケミっち、カノ。ケンチンを信じろ」
こんな状況でもマイキーは冷静だった。
「(こんな時でもマイキーくんは強い。私も彼みたいな強さがあったら…)」
『手は尽くしたのですが…』
『残念ながらお兄さんは…』
「……………」
兄さんは助からなかった
「(先生の言葉を受け入れられなくて…頭が真っ白になって…声が出なくなるまで泣き叫び続けて…それで…兄さんの後を追おうとした。)」
世界はなんて残酷なのだろうと
神様って存在を恨んだりした
どうして兄さんなのと
兄さんが何をしたって言うの…と
尋ねても応えなんて返って来ないことは分かっている
それでも…恨まずにはいられなかった
「(幸せな世界って、どこにあるんだろ。)」
空虚な目を宿しながらそう思った。
「カノ、オマエも座れよ」
静かにマイキーに言われ、彼の隣に腰掛ける。チラリと横顔を見るとマイキーはじっと手術中の明かりを見つめていた。
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