第58章 かつての仲間と共に
「タケミチくん?」
「…"サウザンドウィンターズ"」
「…なんて?」
「だから"サウザンドウィンターズ"。それが新しいチーム名に決まったんだよ…」
カノトは一瞬ポカンとしたが、やがてその名前の意味に気付くと、苦笑を浮かべた。
「…略すと『千の冬』。なるほど…千冬くんが考えたんだね」
「クソダサいだろ?」
「ビックリするくらいのネーミングセンスだね。少し考え直した方がいいかも」
「けどそれがアイツのチーム入りする条件でさ。オレもどうかと思ったけど頑なに譲らねぇんだよ。しかもマークまで出来上がってるし」
「…長いし言いづらい。そのチーム名で関東卍會に挑むのは恥ずかしいかも…」
「だろ?」
千冬のことだ。きっと真剣に考えて辿り着いた答えが自分の名前をチーム名に入れることだったのだろう。それにしてはネーミングセンスが壊滅的だとカノトは正直思ってしまった。
「うーん…とりあえずチーム名は一旦置いておこう。今は仲間集めを優先させた方がいい」
「だな!」
次の日、タケミチに呼び出されたカノトがマンションのエントランスを抜けて外に出ると、そこには千冬も一緒に待っていた。
「千冬くん!」
「おう、久しぶりだなカノ。タケミっちから聞いたけど、オマエも関東卍會と戦う覚悟を決めたんだな?」
「うん、二人を支えられるように頑張るよ」
「いい志だ。そんなオマエには『コレ』を着る権利を授ける」
そう言って千冬から新しいチームの特攻服(ユニフォーム)を渡される。
「…これって」
「TWの特攻服(ユニフォーム)だ!!ちなみに真ん中の動物はオレの飼ってる黒猫で名前はペケJ!」
「……………」
渡されたTシャツを両手で広げて改めて思う。千冬はネーミングセンスだけじゃなく、ファッションセンスも驚くほど壊滅的だと…。
「ん?どうした?あまりの出来に感動で声も出ねぇか?」
「あの…本気でコレ着て関東卍會と戦うんだよね?」
「当たり前だろ!」
「うん…だよね。チーム名も千冬くんが決めたんでしょう?」
「まぁな!最高にイカすだろ!?ここで待ってるから一回着替えて来いよ!」
「えぇ……」
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