第58章 かつての仲間と共に
「オマエもマイキー君もすげぇ幸せそうな顔してる。いつも楽しそうでさ、見てるこっちまで幸せな気分になれるんだ」
笑みを浮かべて、カノトを見る。
「そんな二人がこんな形で終わるのは嫌なんだよ。だからカノちゃん、もう一度オレを支えてくれ。一緒にマイキー君を助けよう!!」
差し出された手をすぐに取ることはできなかった。二人の関係が戻ることを信じているタケミチにカノトは沈んだ表情で静かに呟く。
「…彼を助けられたとしても、僕達はもうあの頃のような幸せな関係には戻れない。それでも君は信じてるの?僕とあの人のことを…」
「あぁ!だって二人はどんなに酷い喧嘩しても絶対に仲直りしてるだろ?だから大丈夫だ!」
「喧嘩してる訳でもないんだけどなぁ…」
何が大丈夫なのかは分からないが、自分達のことを信じているタケミチに笑みが溢れる。
「わかった。彼を助ける為に力を貸すよ。そしてあの人にぶつかってみる。一番言いたい言葉を…まだ伝えられてないから」
「じゃあ…!」
「僕も一緒に連れてって、ヒーロー」
「もちろんだ勇者様!オマエがいてくれるだけで心強い!冒険の続きを始めよう!!」
「うん」
タケミチの手を取ったカノトはもう一度本音でぶつかるために、タケミチと一緒にマイキーと戦い、救うことを決めた。
「それであの人を助けることは決めたけど、具体的にはどうするの?」
「実は新しいチームを創ったんだ。関東卍會にも負けねぇ最っ高のチーム!!」
「もうチームを創るなんて行動が早い。関東卍會にも負けないチームか…メンバーは決まってるの?」
「さっき千冬に会って来たんだ。迷惑だろうけど一緒に戦ってくれないかって」
「千冬くん、何だって?」
「遅せぇって怒られた」
嬉しそうな声色からして、どうやら断られたわけでもなさそうでホッと胸を撫で下ろした。
「良かったね、仲直りできて。相棒コンビ復活だ。千冬くんもいると更に心強さが増すね」
「それで、さ…チーム名なんだけど…」
「もしかしてチーム名も決まってるの?」
「一応…」
「へぇ、どんなチーム名?」
何気なくそう聞けば、タケミチはどこか言いづらそうに口ごもっている。
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