第58章 かつての仲間と共に
「今日はオレに付き合ってくんねぇかな」
「デートならお断りだよ」
「オレ彼女いるんですけど…」
「冗談だよ」
久しぶりに会ったタケミチをからかいつつ、二人は近くの公園のベンチに並んで座る。
「タケミチくんも怪我で入院したんでしょ?結構な重傷だったのにもう大丈夫なの?」
「この通り完全復活!」
「そっか」
「オマエは?もう出歩いて平気なのか?オレも重傷だったけどオマエも酷かったんだろ?」
「君に比べて骨を何本か折ったくらいだよ。僕も完全復活だから何ら問題はない」
公園の砂場や滑り台では母親に見守られながら小さな子供が元気よく遊んでいた。二人はその光景をじっと眺めている。
「さっき会った時に気付いたけどさ」
「?」
「ネックレス、今日は付けてないんだな。それに三つ編みも解けてる。珍しいな?」
「もう必要なくなったからね」
「!」
「これで関係を断ち切れた」
「断ち切れたって…オマエ…」
前を見ていたカノトの顔がタケミチの方に向けられる。
「これで良かったんだよ」
「………………」
驚くタケミチにカノトはにっこりと微笑んだ。まさかそういう理由で大事なネックレスを付けていないと知り、タケミチは辛そうな顔を浮かべる。
「…梵、解散しちゃったね」
「……あぁ」
「三天戦争は関東卍會が六破羅を吸収。関東卍會が天下をとった。酷い悪夢だったね。全部夢なら良かったのに…」
「カノト…」
「戻ってきたのがいけなかったのかな」
晴れた空を見上げながら小さく呟く。
「千冬に言われたんだ。"なんでみんな上手くいってたのに戻ってきたんだ"って」
「!」
「そうだよな…オレたちが戻って来なきゃ、ドラケン君も三天戦争も起きなかった。全部オレの責任だ」
「それは違うよ。君だけの責任じゃない。現代(みらい)で彼と握手したのは僕だ。今回は僕が君を巻き込んだ。だから千冬くんが責めるのはタケミチくんじゃなくて僕なんだよ」
「…未来が視えてたのにも関わらず、ドラケン君の死も三天戦争も阻止する事が出来なかった。元々はオレの責任だ。だからこれからは誰も巻き込まずに一人で戦うことを決めた」
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