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BRAVE You’re HERO【東リべ】

第58章 かつての仲間と共に



それから一ヶ月後───。



「兄さん、いらない箱ってある?」



「あるけど…何に使うんだ?」



「ちょっとね」



三天戦争で負った怪我は完全に治り、後遺症もなく無事に退院したカノトは、マドカから要らない箱を受け取って部屋に戻る。



「よし…これで全部かな」



色違いのネックレス、お揃いの指輪、ピンクと白の花を中心に敷き詰められたプリザーブドフラワー、夏祭りの射的で獲ってくれた硝子玉のピアス、そして二人で写ってる写真────。



箱の中には今までマイキーから貰った贈り物が詰められていた。



「(どれも全部素敵な思い出だ。あの人はこれだけの幸せを私に与えてくれた。一つ一つの記憶を思い返すと懐かしい気持ち。でもそれも…今日でおしまい。)」



思い出に蓋をする事でマイキーとの関係を完全に断ち切ったカノトは、クローゼットの奥に箱を隠すようにしまった。



「("コレ"ももういいよね。)」



髪の横を編んでいた三つ編みを解き、手で軽く梳かす。ついでに電話帳からもマイキーの連絡先を削除し、写真フォルダに保存されているマイキーが写っている写メも全て消した。



「…これで本当に何も無くなった」



寂しげに呟いた自分の声にハッとし、ぶんぶんと横に首を振る。



「気分転換に出かけようかな!」



クローゼットに収納されてある男物の洋服を適当に引っ張り出し、着替え始めた。



「制服以外で男物着るの久しぶりだな」



白のオーバーTシャツの上から水色のシアーシャツを着て、黒のベルトに白のワイドフレアパンツを履いてコーデを完成させる。



前まではマイキーが喜ぶので女物の服を着て出かけることが多かった。けどその必要がなくなった今はこうして男物の服を着ることが何だか新鮮に思える。



「(バスに乗って隣町まで行こうかな。帰りに兄さんと食べるケーキも買って、それから…)」



「カノト」



「!」



家を出てバス停に向かって歩いていると、自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、視線を上げる。



「…タケミチくん」



「久しぶりだな」



「うん…本当に久しぶりだね」



「もしかしてどっか出かける途中?」



「大した用事はないんだ。ただ…気分転換に隣町まで散歩しようかなって」



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