第57章 私の知らない貴方
「死んでる」
「ウソだろマイキー!?」
「(また…人が死んだ。私の前で…。)」
彼が、殺した────。
「ハァ…ハァ…ッ」
息が苦しくなり、荒い呼吸を繰り返す。
「みんな聞け!!!!千咒はサウスに負けて、そのサウスはマイキーに負けた!!!関東卍會の勝ちだ!!この抗争はこれで終わりだ!!解散だ!!みんな捌けろ!!」
サウスの死を耳にしたココが抗争の終わりを告げる。
「………………」
もう…全部がぐちゃぐちゃだ。
雨が降り続く中、周りの声が一切入ってこないカノトは、虚ろな眼でぼう然と一点を見つめ続ける。
「マイキー!!テメェそれでも人か!?そこまでやる必要なかったろ!!?」
ココが場を収めようとする中、サウスを殺したことを批難する武臣の前にマイキーが立つと、無表情で武臣の顔面を蹴り飛ばした。
「カハッ」
「テメェも死ねばいい」
「やめろマイキー君!!!」
武臣を守るように二人の間に割って入ったタケミチは、マイキーの凶行に思わず涙を浮かべる。
「またテメェか」
「こんなのダメだよ!!!間違ってる!!」
「………………」
「マイキー君、もう見て見ぬフリはやめてよ。アイツがアンタのせいで泣いてんの分かってるだろ?なのに何で寄り添ってやらないんだよ!!マイキー君の大事なモンじゃないのかよ…!!!」
ドッ
タケミチをも殴り飛ばしたマイキーを見て、ココは思わず引いてしまう。
「マイキー!!もういいだろ!?解散だ!!!」
ココの制止も聞かず、マイキーは倒れているタケミチの元に歩み寄る。
「さて、どうやって死にてぇ?」
マイキーに胸倉を掴み上げられたタケミチは、以前のタイムリープで同じ質問を投げかけられた事を思い出す。その時は"なーんてね"と冗談を交えていたが、今回はそれがないことに涙を流す。
ゴッ
座り込んだタケミチの顔面を何度も殴り付けるマイキー。その異常な光景に千咒やココは驚いた顔を浮かべている。
「マイ…キー」
顔面が腫れ上がり、片目を開いた状態でマイキーの名前を呼ぶ。マイキーはトドメを刺すかのように拳を振り上げた。
グシャッ
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