第5章 ミッション失敗…?
「カノトすごいじゃん!!」
「カノト君すごい…!!」
エマとヒナが手を取り合って喜ぶ。
「こ…この野郎!!」
一人の男が後ろからカノトの首に腕を回し、抑え込む。タケミチは“あっ…”っと声を上げた。
「そいつの後ろに回るのはやばい」
「?」
ドラケンは不思議そうな顔をする。
「気安く触るな」
「いってぇ!!」
足を踏みつけると男は悲鳴をあげる。その一瞬の隙を狙い、腕から逃れたカノトは、男の胸ぐらを掴み、背負い投げた。
ドシンッ
「!?」
「出た!!カノトの得意技!!」
「背負い投げって…くっ…ハハハ!!自分よりデカい奴をあんな簡単に投げ飛ばすのかよ!!」
ドラケンは思わず笑ってしまう。
「宮村スゲェ…」
「イケメンな上に強いとか反則じゃね?」
「かっけぇな宮村!!」
千堂達もカノトの強さに驚いている。
「残るは一人…」
「…何なんだよ…何なんだよテメェはァ!!」
拳を振り上げながら向かって来た男の顔の前でパンッ!!と両手を合わせ猫騙しを喰らわす。
「か……っ!?」
その一発の猫騙しだけで男はぐるんと目を回し、気を失った。膝からガクンッと崩れ落ち、地面に倒れた男を見てタケミチ以外の全員が衝撃を受け驚いた顔で言葉を失う。
「(久しぶりに見た…カノちゃんの必殺技『猫騙し』!!あれ喰らうと脳に振動が伝わっていつの間にか気絶してんだよな。)」
タケミチはごくっと喉を鳴らした。
「ね、猫騙しで気絶させるって…」
「そんなんアリかよ…」
「宮村オマエまじで何者!?」
「実は喧嘩めちゃくちゃ強いだろ!?」
千堂達の質問責めにカノトは困った顔で笑う。
「喧嘩は強くないし、みんなと同じ普通の中学生だよ」
「普通の中学生は三連技だけであの人数を相手に圧勝しないって!!」
「あぁ、これね…。昔、色々習ってただけだよ」
「色々って?」
「空手とか合気道とか剣道とか」
「強そうなのばっか習ってんな!?」
「僕が片付けたのは内緒にしてね」
「何で?」
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