第55章 明司兄妹
「オマエらも知ってるハズだよ。元東京卍會伍番隊副隊長"三途春千代"。」
「!」
三途…春千代
「(最近現代‹みらい›でその名前を聞いた気が…)」
眉を寄せ、口元に手を当て考える。思い出そうとするも、まるで最後のピースが欠けているかのようにハッキリと思い出せないのだ。
「…へ?三途ってあの…?知り合いなの!?」
「うん。真ん中の兄貴」
「え!?」
「三途とも兄妹…?」
「そう!!謎の三兄妹なのだ!!」
シャッとカーテンを開けた千咒はスポブラ姿だった。
「ちょっと!!?服着て!!!」
まさかそんな格好で出てくるとは思わなかったのか、タケミチは驚きと恥ずかしさが交ざった顔で千咒のズボラさを叱る。
「いいじゃん別にスポブラなんだし」
「そういう問題じゃないんだよ!!」
叱られた千咒はシャー…とカーテンを締めながら文句を言っていた。
「ヒナちゃん以外の下着を見た…?」
「ひぇ!?不可抗力だろ今のは…!!」
再びゴゴゴ…っという黒いオーラを放つカノトのギラついた眼に後ろを向いていたタケミチの顔が恐怖で青ざめる。
「…じゃあ今、その三途君も梵にいるの?」
「ううん。春千代は梵のトップがジブンなのが気に入らないから。千咒(ジブン)が最強なのも武臣がジブンを持ち上げんのも気に入らないんだよアイツ」
「……………」
「だから春千代(アイツ)は関東卍會についた」
「え!?」
「(万次郎くんといるの?)」
『よォ、クソ勇者。テメェは女のクセに昔っからウザくて気に入らねぇヤローだ』
「あ、」
『席を外してくれ三途』
「(…思い出した。)」
千咒の髪色…
"三途春千代"の名前
ずっと違和感だった
「(急に銃を突き付けてきた奴。万次郎くんが名前を呼んでいた。そうか…アイツが三途。)」
今ハッキリと思い出した。そして驚きの事実に辿り着き、目を見開く。
「(現代‹みらい›でも万次郎くんと一緒にいるって事は、やっぱり関東卍會は未来の梵天なんだ!)」
言葉を失い、口元を手で覆う。するとタケミチもその事実に気付いたのか、カノトと同じように驚いた顔を浮かべていた。
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