第55章 明司兄妹
「よーし次行くぞ花垣、カノト!」
「えー!!?まだ!?」
「さすがにこれ以上は持ち運べないね。配送した方がいいかもしれない」
「あのーコレ全部配送ってできます?」
「かしこまりました」
店員も不憫に思ったのか、"すごい量ですもんね"と同情してくれて今まで買った千咒の服を配送することにした。
「カノちゃんの荷物も多いけど一緒に配送してもらえば?」
「そうだね。すみません、コレも一緒にお願いできますか?住所は別で。」
「かしこまりました」
伝票に自宅の住所を記入した。
「(やっぱり梵に入ってよかった。謎が一つ解けた。きっと三途は結構なキーマンだ。そして梵の首領の彼女も。)」
「へー、アイスの自販機なんてあるんだね」
「あ!"セブンティーン"じゃん!なつかしー」
「僕も好きで色んな味を買ってたな」
駅に到着するとアイスを売っている自販機を見つけて二人は懐かしそうに笑う。
「え?知ってんの?」
「うん。"チョコミント"大好きだったんだよねー」
「僕はカスタードプリンが大好きだったな」
「カスタードプリンは甘いからアイスとして分かるけど、チョコミントの"スースー"と"甘い"は合わないだろ?」
少し小馬鹿にしている千咒はタケミチに奢ってもらってチョコミントを一口食べる。
「!!うまっ」
「でしょ?」
「意外と合うんだよねー」
「え?何コレ!?しょーげきっ!!甘さとスースー絶妙なハーモニー!!」
「ダハッ、赤ちゃんのおしゃぶり!」
「ん?」
「ふふ」
「今日はありがとな二人とも!楽しかった」
「僕も楽しかったよ」
「今度の七夕、梵の集会だから忘れんなよ!」
「うっす」
手を挙げながら改札を通る千咒を見送る。
「ってか、いつまで持ってんだよその棒」
「ん?……、チョコミント、また一緒に食べたいな」
「また奢るよ。約束!」
「今度はカスタードプリン味も食べてみて。すごく美味しくて感動するから」
「その時はカノトと一緒に食べる!」
「千咒!」
「ん?」
「また遊ぼうね」
「ウン!」
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