第54章 六破羅と梵(ﾌﾞﾗﾌﾏﾝ)

「別に謝らなくていいんだけどさ…」



「ドラケンくん、僕は誰に何を言われようとマイキーくんを見放すつもりはありませんよ」



「！」



「必ずあの人を助けます。間違った道に進んだ彼の手を引っ張って、正しい道を一緒に歩きます。それが今の僕の"やるべき事"です。」



悲しい顔で落ち込んでいたかと思えば、意思の強い瞳を宿して笑うカノトにドラケンは驚いた顔を浮かべる。



「忘れてた」



「！」



「オマエも依存してるんだったな」



「依存…してますかね」



ふっと小さな笑いを零したドラケンの言葉にカノトは苦笑した。その時、二人の他にもう一人、来客者が現れる。



「お久しぶりですドラケン君」



「タケミチくんだ」



「あれ？どうしてオマエらがここに？」



「花垣じゃん。俺は同じゼファーに乗るドラケンさんに会いたくて勝手に着いて来たんだ」



「え!?オマエもバイク乗るの!?」



「おう！まだ初心者だけどな」



陽翔もバイク乗りだと知り、タケミチは驚いた顔を浮かべた。



「あ、外に停めてあるバイクって…」



「俺のゼファー！かっけぇだろ！」



「どうりでドラケン君との似てると思った」



「タケミっち、CB250T(ﾊﾞﾌﾞ)直しといたぞ」



「…バブ？」



「わりぃな、大分遅れちまって。部品取り寄せんのに時間かかってな」



「花垣のバイクもカッケェじゃん！」



「試しに乗ってみろよ。オレら走りに行くけどオマエらどうする？一緒に来るか？」



「僕はバイクないので彼次第ですね」



カノトは横にいる陽翔を見る。



「もちろん行かせていただきます!!」



「迷う余地なかったね」



「運転は花垣と言えど、ドラケンさんと一緒に走れるなんて光栄だろ！断る理由ナシ！」



「(すっかりドラケンくんを尊敬してる。)」



こうして4人は夜の街を走りに行く事にした。



◇◆◇


「夜の街ってこんなに静かなんだな」



「風も気持ちがいいね」



「というか宮村、お前とドラケンさんって全く関わりなさそうなのに何処で知り合ったんだよ？」



「あー…それは…」



「逃げろドラケン!!!!」



「！？」



「イヌピー!?」



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