第53章 貴方を助けるために
「見た目に反して優しい味!相変わらず美味しくて文句の付けようがないです!」
「だろ!」
「いつも美味しそうに食べてくれるからこっちも嬉しいよ」
モグモグと頬張っていると、懐かしい写真が飾ってあるのを見つける。
「あの写真…」
「ん?ああ、3月8日(東卍解散)の記念写真ね!」
「オレの青春の全てを東卍(あそこ)に置いてきた!」
「あれから12年ですもんね。今でも昔のことを思い出すと懐かしいです。あの…お二人はマイキーくんと連絡を取ってるんですか?」
「…ん?取ってねーよ」
「…え?取ってないって…一度も?」
「うん」
笑顔でそう言い切られ、唖然とする。
「俺らマイキーの連絡先知らないんだ。だから君に会ったらマイキーが元気か聞こうと思って」
「…私も、知らない、です…」
「え?」
「ずっと連絡してるんですけど…電話には出ないし、メールの返信もくれないんです」
「……………」
二人は顔を見合わせる。
「マイキーくんは…海外で仕事してるんですよね?」
「ドラケンからはそう聞くけど」
「…お二人がマイキーくんと会わなくなって、どれくらいになりますか?」
「もう10年以上会ってねぇ」
「え!?10年以上!!?」
驚きの余り、箸を落としそうになった。
「恋人のお前には一度くらいは連絡してると思ったんだけどな」
「マイキーって、昔から君にベタ惚れだったでしょ?だから何の音沙汰もないのは正直驚いたよ」
「(嫌な予感が止まらない。万次郎くん、貴方は今どこで何をしてるの?)」
先程から心臓が通常より速く鼓動を打ち、体温を持っていた指先は冷たくなっていた。
「(ドラケンくんが嘘を教えた?何の為に?そもそも私、万次郎くんといつから連絡取り合ってないの?)」
カノは慌てて携帯を開き、通話履歴とメールの内容を確認する。
「……………」
「カノちゃん?どうかした?」
「電話…私から掛けた履歴しかなくて…マイキーくんから掛かってきた通話履歴が無いんです…」
「!」
「メールも一番下まで遡っても、マイキーくんから送られてきたメールが一件も無い…。どういうこと…?」
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