第52章 辿り着いた未来
「タイムカプセル開ける日が楽しみですね」
「カノは何入れたの?」
「12年後に開ける楽しみがなくなるので秘密です」
「カノがオレの知らない秘密作るのスゲーやなんだけど。掘り返してきていい?」
「ダメに決まってるじゃないですか」
帰り道、二人で並んで歩きながら先程埋めたタイムカプセルの話をしていた。
「…12年後のみんなはどんな大人になってますかね」
「三ツ谷はデザイナーで活躍してそう。服作ンの上手いし、手先器用だし」
「確かに。三ツ谷くんはデザイナー以外の職業は思いつきません。きっと三ツ谷くんの作る服を好きになる人はたくさんいますね」
「あとケンチンは絶ッ対ェバイク屋!!」
「ドラケンくんバイクいじり好きですもんね」
「オレはどんな大人になってると思う?」
そう聞かれて、12年後のマイキーがどんな大人になり、どんな仕事に就いているのかを想像する。
「うーん…万次郎くんの場合は難しいですね。将来なりたいものとかないんですか?」
「あるよ」
「何ですか?」
「カノの旦那さんに決まってんじゃん♪」
「…職業の話してるんですけど」
「"どんな大人になってるか"って話だろ。将来は大好きな奥さんと可愛い子供と三人でいつまでも幸せに暮らすのがオレの夢!」
「素敵な夢だと思います…」
「あ〜照れてる〜❤︎」
「照れてないです」
「頬紅いけど?」
「!」
「わっかりやすい反応」
「万次郎くんこそ口許がニヤついてます」
「大好きな恋人が可愛すぎて❤︎」
本人を前にして惚気けるマイキーに、もう何も言えなくなったカノト。
「そういうカノの夢は?」
「私の…夢、ですか?」
「聞かせてよ」
「…万次郎くんを幸せにすることです」
「!!」
「大好きな恋人を私の持てる全てを使って、世界一の幸せ者にすることです」
「…………っ」
チラリとマイキーの反応を見遣ると、面を食らったように驚き、その後、先程のカノトと同じように頬を赤らめ、何も言えずに押し黙った。
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