第52章 辿り着いた未来
「終わったね」
「あぁ」
「これからどうしようかタケミチくん。東卍も終わった、稀咲ももういない。もう過去(こっち)にいる意味なくなっちゃったね」
「…稀咲が死んだ今、現代(みらい)で稀咲に殺された直人は死んでないハズ」
「うん」
「だから現代(みらい)に帰れるだろうし、現代(みらい)はきっとよくなってる」
「うん…」
「だから一刻も早く現代(みらい)に帰りたい…。帰ろう、カノちゃん」
「そうだね…。私達はこの時代に留まる事は出来ない。本来いるべき場所に帰って、良い現代(みらい)で生きなきゃね」
カノトは少し寂しそうな顔で笑う。
「……………」
タケミチの暗い表情に気付いたカノトは、彼の考えている事が分かるのか、眉を八の字に下げ、力なく微笑む。
「私も同じ気持ちだよ」
「え?」
「現代(みらい)に帰ったら、過去(こっち)のみんなとはもう会えなくなるのは嫌だね」
「…カノちゃんって、昔からオレの思ってること当てるの得意だよな」
「そりゃあ、長い付き合いだし」
「たまにエスパーなんじゃねぇかって思う」
「流石に人の心の中までは読めないよ」
本気で驚いているタケミチに、へらっと締りのない顔で苦笑する。
「オレがいんのに他の男と喋るなんて良い度胸してんじゃん」
「わっ!?」
「カノの浮気者〜」
タケミチから引き離すように、後ろから首元に手を回し、ギュッとカノトを抱き締めるマイキー。
「タケミっちなんかよりオレと喋ろ。オレ以外にオマエの話を上手に聞けるヤツいねぇだろ」
「マイキー君!?」
「急に抱き着かないでください」
「やーだ❤︎」
相変わらず我儘を貫き通しているマイキーに呆れるが、そこで周りからの視線に気付き、ハッとして慌て出す。
「みんな見てるので離してください…!!」
「別にイイじゃん。オレらの仲の良さ、コイツらにも見せつけてやろうぜ♪」
「人前で抱き着かないでって言ってるでしょう!?TPOを弁えてください!」
「TPO?難しい言葉知ってるよなーカノ。そういうところも好き❤︎」
.