第52章 辿り着いた未来
「宮村と総長ってそういう関係だったのか!?」
「全然知らなかった!」
「けど総長って宮村の前ではスゲー優しい表情になるよな」
「ずっと気にかけてるしな」
「総長のどタイプだったんだろうな」
「さすがオレらの総長…!!」
ザワつきが起こる中、カノトは恥ずかしさで頬を紅潮させながら、マイキーを恨めしげに睨み付けた。
「(何でバラしちゃうんです!?)」
「これで人目を気にせず堂々とイチャつけるな」
「(絶対に確信犯…!!)」
全員がいる前で怒るに怒れず、代わりに身体を怒りで震わせる。そんなカノトの心情など知らず、マイキーは恋人宣言に満足したのか、スッキリした顔で笑みを浮かべていた。
「相変わらず独占欲の塊だな」
「オマエのだって知って誰も手を出すヤツなんていねーだろ」
三ツ谷とドラケンは呆れた顔で言った。
「(もう!!万次郎くんの馬鹿…!!)」
「おめでとう宮村!!」
「総長のハートを射止めるなんてスゲェな!」
「俺らは応援してるからな!!」
「総長と末永くお幸せに…!!」
「あ…ありがとう…ございます」
男同士の恋愛なんて受け入れてもらえないと思っていたが、その予想は大きく外れ、全員が二人の恋を応援し、祝福してくれた。
「(気持ち悪がられると思ったけど…私の考え過ぎだったみたい。まさかこんな盛大に祝ってくれるなんて。東卍は本当に良いチームだな。)」
ホッと安堵の表情を浮かべる。どうやらマイキーに秘密を守らせるのは、彼の性格から考えて、無理だったようだ。
「(恥ずかしかったけど、万次郎くんに悪気があった訳じゃないし、今回は許そう。)」
静かな怒りは自分の中で消し、祝福の言葉をくれるメンバー達に有難うの言葉で返した。
「東卍は今日で解散する!!どんな最高の時間だっていつかは終わる!!それが今日なだけだ!!けど忘れんな!!東卍はいつでもオマエらの心ん中にいる!!」
「東卍!!!」
「東卍!!!」
「東卍!!!」
声を張って叫ぶマイキーの総長としての最後の言葉を聞いたメンバー達は東卍コールを連呼し、天に向かって拳を突き上げたのだった。
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