第5章 ミッション失敗…?
その途中で雨が降り始めた。
「マイキーくんのバイク…」
「これ被って後ろ乗れ」
ヘルメットを投げて寄越すマイキーに急かされ、慌てて後ろに跨る。エンジンを掛けたマイキーを慌てて止めた。
「待ってください!ドラケンくんがどこにいるか分かってるんですか!?」
「分かんねぇよ」
「まさか闇雲に探すんですか!?」
「……………」
何も答えないマイキーに“そうなのだ”と悟ったカノトは今にも走り出そうとしているマイキーに声を掛ける。
「一旦落ち着きましょう!!このまま走り続けてもドラケンくんが見つかるかどうか…」
「早くしねぇとケンチンが危ねぇかも知れねーだろ!!?」
「っ…………」
苛立ちや焦りで声を荒らげたマイキーにビクッと体が跳ねた。それを見たマイキーがハッとした顔で視線を地面に落とす。
「…ごめん」
「いえ…でも取り乱すと余計に混乱するので深呼吸した方がいいと思います」
「そうだな…一旦落ち着こう」
マイキーは息を吸って吐いた。
「ケンチンの居そうな場所か…分かんねーもんだな。長いこと一緒にいんのに」
「(たしかナオトくんが…)」
『2005年8月3日。東京都渋谷区の駐車場で暴走族のグループ50人が乱闘。“中学生”(15)がナイフで腹部を刺される等の暴行を受け死亡』
『この中学生が龍宮寺です』
「マイキーくん…」
「ん?」
「この近くに神社はありますか?」
「神社?確か向こう側にあったな」
「そこの駐車場です!!」
「!!」
そう言うとマイキーは頷き、すぐにエンジンを掛け、ペダルに足を乗せる。
「飛ばすから振り落とされんなよ!!」
「は、はいっ!!」
その瞬間、バイクは急発進した。ぐんっと体が後ろに引っ張られそうになり、カノトは必死でマイキーにしがみついた。
「(お願い!!間に合って…!!)」
今はドラケンの無事を強く祈る事しかできなかった。
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