第51章 一途な総長は大人な彼女と幸せな愛に溺れて(❤︎)
「オレのこと、こんなに愛してくれるのはカノだけだ。この時代でオレと出逢ってくれて有難う。もう何度も伝えてるけど、オマエを好きになって本当に良かった」
「そんなの…私の方です。私のことをこんなに愛してくれるのは万次郎くんだけです。私も貴方と出逢えて良かった。万次郎くんを…好きになって本当に良かった」
心の底から本当にそう思う。最初はマドカを救う為に過去へとやってきた。でもマイキーとの出逢いがカノトの全てを変えた。今じゃマドカとマイキーを救って、未来でマイキーと一緒に幸せになりたいと望むようになった。
「本当は分かってんだ。オマエの居場所は過去(ココ)じゃねぇって。オマエが帰るのは12年後の未来だって…ちゃんと分かってる、つもりなんだ」
マイキーの手が小さく震えている。
「けど…どうしても手放せねーんだ。オレの我儘でオマエを縛り付けてるのは知ってる。逃げる選択肢を奪ってごめん。手放してやれなくて…ごめんな」
大事な存在がこの世界から消える。その不安と恐怖でマイキーの心は押し潰されそうになっていた。
「カノのことが大好きだから…もう絶対に手放してやれないんだ」
カノトを本来いるべき場所に帰してあげたい。それが正しい事だとマイキー自身も理解っている。でも一度は愛した女(ひと)で、結婚の約束まで済まし、この先もずっと傍にいると誓ったからこそ、もう簡単に手放すことは出来なくなっていた。
「オレさ…初めはオマエにこんなに執着すると思わなかったんだ。ただ傍にいるだけで満足してた。でも…今じゃカノのいない世界を独りで生きていける自信はねえ」
「……………」
「ただ傍にいるだけじゃもう…満足しなくなった。オマエと深い愛で繋がって、何処にも行かせたくないって思うようになっちまった」
そしてマイキーは八の字に下げた眉で切なそうに笑み、黒い瞳でカノトを真っ直ぐに凝視める。
「カノ…それでもオマエの決心は揺るがねぇんだろ?」
「…はい。私は…」
ポロッと紫色の瞳から一粒の涙が流れる。
「私は…っ…12年後の未来に、帰ります…っ」
「そっか」
ポロポロと溢れ出す涙は止まらず、膝の上に染みを作る。
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