第2章 秀一くん
「お姉ちゃーん?まだー?」
玄関から秀一くんの声がする。
私の着替えを待っているのだ。
そう思うと余計焦ってボタンがうまく閉まらない。
ワイシャツの第一ボタン。一番つけづらい。
「うぅ…………くっ……」
一生懸命指を動かすけど全然はまらない。
もう時間がない!!
………………しょうがないか。
私は第一ボタンをはめてない状態で玄関に向かう。
「あ、やっと来たぁ」
「あのさ、秀一くん、ボタンしめてくれない?」
「え?………うん、いいけど……」
少し遠慮しながら私の首元に手を近づける。
当たり前だけど、近い。
息遣いが聞こえそうで、変に緊張してしまう……。
「…………っと、いいよ」
「ありがと………」
「うん」と言って笑いかけてくる秀一くん。
私はその上から、リボンやらベストやらを着る。
着終わると、秀一くんがじっと私を見ていることに気づいた。
「あ、ごめんね?遅くて……」
「え?あ。ううん!違うよ、その……カワイイ」
……………なんですとぉ?!
カワイイ?!いやいや、秀一くんのほうが可愛いもん///
でも、嬉しいな……
「へへ…………ありがとう///」
「じゃあ行こうか」と、ドアを開けようとした時
ピンポーン
と、チャイムが鳴り、同時にドアが開いた。