第8章 あの日から
和也…………
「お姉ちゃん」
「っ!?」
突然の声に飛び起きる。
どうやらあのまま寝てしまっていたらしい。
私の隣に、秀一くんは座っていた。
「お姉ちゃん今、あの人の名前言ってたね」
「え…?」
ニコッと、黒い笑顔が向けられる。
笑っているけど笑っていない。
この顔は、怒っている顔だ。
「おかしいなぁ……」
うーん、と腕組をし、深く考えたあと、秀一くんは私に向き直る。
「お姉ちゃんは僕のこと好きなはずなのに、なんで寝言であの人の名前言うの?」
心臓がドクンと脈打つ。
なんて答えたらいいのかわからない。
「…あぁ、そうか。お姉ちゃん、その人のこと怖いんでしょww」
アハハと笑いながら問いかけてくる。
もう笑顔すら、私にとっては笑顔に見えない。
「なんだぁ。そうならそうと言ってくれればよかったのにぃ…」
「ボクガコロシテアゲルカラ」