第7章 嘘…
「……上がったよ、秀一くん?」
お風呂から上がると、秀一くんはリビングの隅っこと秀一くんの部屋を行ったり来たりしていた。
「秀一くん?部屋がどうかしたの?」
開けっ放しの秀一くんの部屋を覗こうとすると、
「見るな!!!」
「?!」
ビックリして、思わず動きが止まる。
その間に秀一くんはパタンと部屋のドアを閉め、
「見て面白いものなんて無いよ。じゃあお風呂入ってくるね!先に寝てていいから、リビングの電気は消さないでね?」
叫んだ声とは全く違う静かな口調でこう言った。
「う、うん……」
そんな可愛い顔で言われちゃ頷くしかない。←
じゃ、言われた通り、寝ようかな。
布団に入ると、
〜♪
携帯の着信音がなった。
携帯の表記には『和也』と出ている。
こんな遅くに何の用だろう?
「はい、もしもし?和也?何したの?」
「美琴!出かけるのがダメならさ、お前の家に遊びに行っていいか?」
「あぁ、うん……………………はっ!?」
何だそれは。急すぎるだろ。
「秀一………だっけ?お前の弟。そいつが気になって遊びに行けないならお前の家でいいかなぁって思ってさ」
お前の思考回路はどうなってるんだよ。
「で?ダメなの?」
「えー………それは秀一くんに聞いてみないとわからーーー」
その時、耳から携帯電話の感覚が消えた。
「ごめんなさい。その日はお姉ちゃんと買い物行くので、また今度にしてください。でわ」
そう言った主はピッと電話を切り、私を見つめた。
いや。睨んだ。に近いだろう。
その主は………
秀一くんだ。