第5章 私……
「ねぇ、怖い?僕が」
「……………!」
なんて言えばいいのだろう。
なんて言えば、怒らないのだろう。
無意識のうちにそんなことを考える。
「ヒドいなぁ……弟を怖がるなんてさ。あ、でも……」
秀一くんは私を下にして伸し掛かる。
「お姉ちゃんの頭ン中が僕でい~っぱいになるのはぁ…………嬉しいかな?……ふふ……」
クスと笑ってそのまま唇を重ねる。
「ん………っ!こ、こんなの、姉弟ですることじゃないよっ!!」
重ねられた唇が離れた時、私は顔を背けた。
すると舌打ちが聞こえ、
私の顎は秀一くんに強引に掴まれ、強制的に前を向かされる。
「……ざけんなよ……お前たった今、俺と約束しただろ?」
「そ、そんなこと言ったって……………!!」
「んんっ……………」
喋り途中だったため、秀一くんの舌は容易く私の口内に侵入してくる。
嫌なのに。
苦しいのに。
勝手に息が上がっていく。
「んっ………っ…嫌!」
「いや?…………くく……本当にそうなの?」
静かに笑いながら秀一くんは私にキスをする。
「んん!………………っ……ハァ…ハァ…ん!」
重ねては離れ、重ねては離れ、
息も苦しくなっていく。
「嫌とか言って…………ん………っ……感じてんじゃないの?俺に」
「ハァ…っ……そんなワケ……ないっ」
「へぇ、そう。じゃ、何でそんなにうるうるした目で見つめてくるの?……………………誘ってるとか?くく………」
最初は嫉妬だと思った。
嬉しかった。
でも今は…違う。
怖い。
なのに身体が反応してしまう。
もうやめてよ…秀一くん…