第5章 私……
「お姉ちゃん………もう、僕しか見ないでよ……」
頭を優しく撫でられる。
「約束してくれるなら……今回だけ許してあげるよ?」
許す?
それは……出してくれるということなの?
「うん……約束するよ……」
「わぁ!ほんとに?!」
パッと顔を明るくして、もう一度ギュッと抱きしめてくる。
そんな秀一くんは、可愛い可愛い私の弟。
「さっ!晩ごはん食べよう?僕作ったんだ!冷めちゃうよ!」
「…………うん」
普段と変わらない秀一くん。
明るい秀一くん。
優しい秀一くん。
そんな姿を見て、私は安心した。
笑った。
話した。
今日のことは、悪い夢だ。