第3章 あれ………?
え……………?
何を言っているのかわからず、玄関で固まっていると秀一くんは私のカバンを取り上げる。
「え?!ち、ちょっと何してんの!?」
秀一くんは、私のカバンをひっくり返して、中身をみんな出す。
「……………無いなぁ。ねぇ、ドコ?携帯」
携帯は私のポケット。カバンには無い。
顔こそ笑っているが、目は「早く出して」という、鋭い目。
鳥肌が立つくらい、鋭い目。
可愛い弟に、うっすらと恐怖を覚える。
渡しちゃダメだ。
そう思ったのが間違いだったのかもしれない。
渡していれば、あんなことには、ならなかったのかもしれない。