第1章 特技は月刊誌を引きちぎる事です。
「え、むっさん別れちゃったんすか?」
「マジで?」
『はは、そうなんっすよー』
ランチタイムに後輩と先輩と一緒にコンビニへと買い出しへ行くさながらに婚約破棄を報告した。
「勿体なーい!なんで別れちゃったんです!?」
『他に女が居て、その女が妊娠してた。』
「ほわぁ〜」
「エグいな」
簡潔に報告すると2人ともドン引きしてた。
分かる。私もドン引きしてる。
「むっさんさん大丈夫っすよ!開発部の河本さんがむっさん結婚するったら落ち込んでたからきっと喜んでくれますよ!」
『謎フォローやめぇ(笑)』
「まぁでも、私は陸奥は上手くいかないんだろうなって思ってた」
『え?そうなんですか?』
後輩の謎フォローに笑いつつも先輩の言葉にはショックだった。
お祝いしてくれたじゃん!!
「うん。だって、陸奥さ今の家に彼と同棲したら?って言ったら一緒に住むの嫌だとかあの家から離れたくないって散々に言ってたのに結婚するとか言っててマジで意味不だったし(笑)」
『あぁ〜』
「ウケる(笑)なんで結婚しようとしたんっすか?」
苦笑いしてる2人にそう言えばそんな事言ってたなって思い出した。
彼は何度も同棲しようと言ってきたのに私が断ってた。
でも結婚したら都内に部屋を買おうって言われた時も本当は嫌だった。
嫌だったけど「結婚」って言葉が欲しすぎて、逃したくなくて「結婚は我慢しなきゃだよ」って思って、諦めたんだ。
『結婚がしたかったんだよ』
「なんっすか、それ!」
「あーね、そーゆう時期か」
『そーゆう時期です!』
笑いながら買い出しを終えるとビルの入口にめちゃくちゃデカい人が立ってた。
白髪頭にサングラス。