第1章 特技は月刊誌を引きちぎる事です。
ピピピッと軽快な機械音が頭へと響く。
目が上手く開かず無理矢理開けようとするとパリパリした。
泣いてたせいか涙と目ヤニが目の周りで固まってたんだ。汚ぇ。
熱を持って腫れている瞼を抑えつつ身体を起こすと胸から湧き上がる吐き気と頭に響く頭痛でまた布団へと倒れた。
二日酔いだ。きっつい。
とにかく顔を洗って水を飲もう。
喉がカラカラだ...もう一度ゆっくりと起き上がろうとするとふとした事に気が付いた。
ベッド...これ私のベッドじゃない。
シーツがホテルで見る真っ白のパリッパリのシーツだ。
ん?ん?どーゆう事だと思ってベッドを見渡すと隣にコチラに背を向けて寝てる人が居る。
あまりの出来事に声が出そうになったが酒焼けしてんのか声は掠れてて出なかった。その代わりにあんなに開きづらかった目がめっちゃ勢いよく開いた。
隣の人はまだ動かない...起こさないようにゆっくりとベッドから降りた。
見ると下着はギリギリ着けてる。
これは漫画でよく見るやっちゃってる展開なのか?
ゴミ箱を見れば分かるはずだけどゴミ箱は寝てる人の方にあるのか見当たらない!自分の身体を確認してもよく分からない!
自分の体を確認してたらスマホが今度は着信をマナーモードで知らせてくれた。
慌てて画面を見ると彼の名前。
また怒りがフツフツと湧き上がって電話に出ず切ると昨日からの大量の着信とメッセージの凄い数。
ふっと一息吐いて、とりあえず顔を洗って服を着た。
この間にも隣の人は起きなかった。
顔は見えないけど真っ白な頭髪からもしかして私はすっごい年寄りの方と寝てしまったのかもしれないとショックを受けつつも、『ごめんなさい』と小声で謝りつつ、こっそりとホテルを後にした。