喧嘩して「勝手にしろよ」と言ってしまったじゅじゅ男子【前編】
第2章 【前編】伏黒恵
┊ 伏黒恵┊
長い長い喧嘩の末、ついに言ってはいけないことを言ってしまった。「もういいんじゃねぇか?勝手にしろ。俺はなんも言わねぇ」そう言って俺は部屋を出ていった。でも……そこでもう気づいていたんだと思う。でも信じたくなくて目を逸らした。何か言いたげな顔をして下唇を噛む🌸の顔を俺は見たはずなのに見て見ぬふりをしたんだ。
翌日、いつも通り読書をしていると額に汗をうかべた釘崎が部屋を訪ねてきた。「伏黒っ!あんた何陽気に本なんか読んでんのよ!今すぐ集中治療室来なさいっ!」それだけ言ってまたドタバタと廊下を走っていった釘崎は酷く青ざめていて、なんだか嫌な予感がした。
集中治療室に行くと、人工呼吸器をつけて変な方向に足が曲がっているが居た。そして釘崎が悔しそうな顔をして1枚のメモを渡してきた。「これ…… のポケットに入ってたやつ。あんた宛てよ。」折られたメモを開くと【最期くらい笑顔で私を飾らせてよね】それだけが書いてあった。
いつも柔らかい笑顔で俺に話しかけてくれる。もう……会えないのか?また笑って見せてくれよ
その笑顔はさ…俺だけにみせてくれ。また俺の隣で笑ってくれよ……。頭の中に浮かぶのは全て願望だった。